任天堂グループはマリオやポケモンといった世界的に人気なキャラクターを数多く抱えており、IP(知的財産)ビジネス面での安定感もある。もし家庭用ゲーム機を出してゆく役目を終えても、事業規模の縮小はあるだろうが当面は安泰だろう。しかし、任天堂のライバルたるソニーの未来は、不透明なファクターが多そうだ。

「ソニーは1994年に初代PSでゲームビジネスに参入しました。当時の任天堂のビジネスモデルであったROMカセットをCD-ROMに変えたり、ターゲット層を子どもからヤングアダルト世代に変えたりするなど、任天堂を完全に否定する戦法で市場を席巻したのです。のちにPS3の不調で任天堂の後塵を拝したものの、PS4の大ヒットで盛り返すなど、一進一退の攻防を見せています。

 基本的にはPS4の勢いそのままに、よりそのスペックを底上げした“ゲーム専用の小型PC”とでもいうべき新ハード・PS5につなげていきたいはずです。また、ソニーはクラウドの面では弱いので、マイクロソフトと協業をしたりして新たな業界の流れにも対応しようとしていますね」(同)

 ソニーとしては新ハード・PS5で巻き返しを図りたいところだろうが、PS5は具体的にどのようなものになるのだろうか。

「簡単に言うと“超パワフルなPS4”という感じになるのではないでしょうか。PS4の構造はほぼPCと同じです。独自のOSを搭載し、コントローラーで操作するというだけで、PCと言って差し支えのない性質を持っていたんです。ですから続くPS5も、“ゲーム専用のPC”という理解でOKだと思います。追加要素といえば、PSVR(バーチャルリアリティシステム)を同梱するか否かですが、ひとまずは同梱版と非同梱版を出して、売れ行きを鑑みつつ取捨選択していくのではないでしょうか」(同)

 ソニーはPCと似た構造を持つPS4をさらに強化したPS5で、ハイエンドな体験を求めるユーザーに訴求していく算段なのだろう。しかし、ソニーはこれまでにマリオやポケモンクラスの人気キャラクターを生み出すことができておらず、IPビジネス面では任天堂に差を広げられているのも事実。PS5発売後の動向は、まだまだ予断を許さないといえる。

家庭用ゲーム機に生き残りの未来はあるのか?

 最後に、小野氏に今後の家庭用ゲーム機業界の未来を予測してもらった。

「家庭用ゲームはなくなると10年くらい前から言われていますが、しぶとく生き残っています。手軽にハイエンドなゲームを遊びたいというユーザーが意外といたということですし、Switchのヒットもハイエンドなゲームを外でも遊びたい、寝っ転がって遊びたいという需要の証明なのでしょう。そのため今後5年は生き残ると思います。

 また、ゲーム開発ツールの無償化・高性能化に伴い、誰もがゲームをつくれる時代が到来しています。家庭用ゲーム機は早晩、その変化に対応してゲーム開発環境を解放せざるを得ないのではないでしょうか。一から世界をつくり上げていくゲームソフト『マインクラフト』が、世界的に爆発的ムーブメントを巻き起こしたことにも通じますが、家庭用ゲーム機で自作ゲームをつくって遊びたいというユーザーニーズは、意外と高いと思います」(同)

 ゲーム業界はスマホの登場と、そこと深く連携したクラウドゲームの登場で大きく様変わりしていくだろう。そのなかで、家庭用ゲーム機業界が越えるべきハードルは高くなる一方だ。今後、彼らにはハイエンドなハードのファンを離さないことと、ゲーム開発環境の解放といった新たな戦略を駆使していくことが肝要になってくるのではないだろうか。
(文=A4studio)

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