年金保険料のうち、厚生年金と自営業者や非正規雇用者らが納入する国民年金は、04年から17年9月まで毎年段階的に引き上げられ、厚生年金保険料率の場合、現在18.3%の高水準に張り付いた。

 目下、保険料が急上昇中なのが高齢化に伴う介護保険。協会けんぽによると、今年5月の納付分から適用された介護保険料率は前年比10%増の1.73%。10年前に比べて45%急増した。大企業の会社員らが加入する健康保険組合の被保険者が1年間に負担する1人当たり平均保険料は、19年度に49万5732円。平均保険料率は過去最高の9.218%に引き上げられた。3年後には同保険料は5万円以上増え、約55万円になる見通し。

 大和総研の家計負担調査によると、「平成の間の家計負担増は、ほぼ社会保険料の増加によってもたらされた」ことがわかった。税・社会保険料負担率は平成の間に20.6%から25.7%に上昇した。しかも、その上昇率5.1ポイントのうち4.2ポイント分は、直近10年間(07~17年)に生じたという。これが、急速に家計負担を増やした要因だ。

 家計を豊かにするためには、政府・議会は“隠れ税金”の膨張抑制と財源創出の再設計に本腰を入れなければならない。旧来の社会保障制度の微調整ではない全面的な制度設計と所得の二極化が進むなか、消費増税よりも超富裕層への課税を柱とする税制改革が必要だろう。

 まずは、19年度政府予算が34兆円規模の社会保障関係費のうち12.1兆円と最大を占め、問題が多い年金の抜本的な制度改革に取りかかる。夫婦の老後資金として公的年金以外に「約2000万円が必要」との試算が金融庁から発表され、国民の年金不信・不安が深まったばかり。制度の不備から全就労者の4割近い非正規雇用者らの無年金者、低年金者が年々増え、生活保護になだれ込んでいる状況がある。30代後半~40代までの就職氷河期世代の非正規問題はとりわけ深刻だ。

日本の年金評価は34カ国中29位

 日本の公的年金に対する国際的な評価は、依然かなり低い。世界最大級の米年金コンサルティング会社、マーサーの18年度の評価で日本は世界34カ国中、なんと29位。特に持続可能性が問題視されているのだ。

 評価のトップはオランダ、2位デンマーク、以下フィンランド、オーストラリア、スウェーデンと続く。上位の多くは、若いうちに年金資金を積み立て、老後にこの積立金を運用益と共に自分の生活資金に充てる積立方式を基本にする。

 政府は、年々改良を重ねる海外先進国の優れたニューモデルを取り入れ、現役世代の負担を減らすと共に老後の希望を持たせる責任がある。「令和」を迎え、旧来の失敗続きの慣行的思考と制度を改めるときだ。この国の形をつくり直す新時代の始まり、と心すべきである。
(文=北沢栄/ジャーナリスト)

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