価格設定が高いということもあり、地域によっては“JPN不買運動”とでもいえる行動も目立っているとの話も聞くし、今までクラウンコンフォートをタクシー車両として使っていたマカオや香港でも、“トヨタ・コンフォート”という車名で走り出しているとのことだが、別の情報では、今後もクラウンコンフォートの後継として定着していくかについてはかなり疑問が残るという。
中国本土は世界でもトップレベルでBEV(バッテリー・エレクトリック・ビークル/純電気自動車)が普及しており、タクシーのBEV化も進んでいるので、その中国の特別行政区であるマカオや香港も、中央政府は“ひとつの中国”と強調していることもあり、中国メーカーのBEVタクシーへ移行していくのが自然な流れではないかというのである。
注目を浴びるシエンタ
JPNタクシー苦戦のなかで、注目を浴びているのがトヨタ「シエンタ」である。シエンタは2018年9月のマイナーチェンジで2列シート車が追加されており、これはタクシーベース車ありきの設定ではないか、ともいわれていた。現行シエンタは3列シートしかなかったデビュー当時から、タクシー車両として使われることが多かった。東京などの大都市でなければ走行距離もそれほど多くないので、ガソリンハイブリッドでも採算が取れるとのことである。
しかも、最近ではガソリン仕様(またはハイブリッド)を購入した後にLPガスを燃料とするように改造して使う事業者も目立っている。ガソリンタンクはそのまま残り、予備燃料として使えるので、ハイブリッド仕様でLPガスバイフューエル仕様にすると、トータル航続距離は軽く1000㎞は超えるとのこと。
しかも、LPガスバイフューエル仕様への改造費は、調べると70万円もあれば十分なようなので、仮に2列5名乗車のハイブリッド仕様となるオートスライドドアが装備される、上級グレードのファンベースGハイブリッドに改造を施しても、車両本体価格に改造費を単純に加えると約300万円となる。JPNタクシーの和より約20万円、上級の匠より約50万円安く済むことになる。
「JPNタクシーではなく、シエンタベースの営業車仕様があれば、それで十分だったのでは?」
タクシー業界を中心に、この疑問は多く聞くことができる。ちなみに、シエンタはタイや台湾など、ASEAN各国で日本とは異なる仕様(MTなどもあり、タクシー仕様としての使用も想定した設計になっているとの情報もある)とはなるがラインナップされており、いずれも大人気となっている。