中国ブランドのBEVが日本参入の可能性も
2015年にタクシー車両要件の基準緩和が行われ、今ではJPNタクシーのようなタクシー車両向けモデル以外でも、さまざまな車両が使えるようになっている。都内では日産「ノートe-POWER」のタクシーもよく見かけるが、乗務員からは「自分のマイカーに運転感覚が近い」と、利用客からも「ひとりで利用するなら十分」という声が聞こえ、意外なほど評価が高まっている。しかも、前述したLPガスバイフューエルへの改造も可能となっている。
そうはいっても、JPNタクシーに限らず新車への代替えを躊躇する事業者も多く、そのなかには、先代クラウン・ロイヤルサルーン・ハイブリッドの中古車に入れ替える事業者も増えている。新型クラウンの登場以来、先代クラウンからの代替えが法人ユーザーを中心に目立っており、黒系ボディカラーのロイヤルサルーン・ハイブリッドの中古車も多い。年式や走行距離などにこだわらなければ150万円以下で購入することも可能で、大都市ほど走行距離が延びない郊外や地方部では、ガソリンハイブリッドでも燃料費負担はコンフォートやY31セドリックのLPガス車と比べても“トントン”とのこと。
JPNタクシーはハイブリッド仕様なので、燃費性能がコンフォート系に比べると格段に向上した。しかし、それが直接的な原因ではないが、LPガススタンドの廃業に拍車をかけたともいわれており、東京23区内でもLPガススタンド空白地帯が生まれてしまった。地方部ではもともとLPガススタンドが少ないなか、やはり廃業も目立ち、遠方のガススタンドへ行くよりは、ということもあるようで、先代や先々代「プリウス」のタクシーが目立っている。
しかし、ガソリンスタンドも廃業が目立っているので、中長期的に見れば、日本では地方部、特に主要都市以外からタクシー車両のBEV化(タクシーだけでなく一般車両も)が進んでいくのではないか、との話もある。しかし、日本車で量販されているBEVは日産「リーフ」ぐらい。このままいけば、そこへ向けて中国ブランドのBEVが入ってくる可能性は否定できない。「まずはタクシーなど営業車で」とばかりに、日本市場に本格参入する足掛かりにはもってこいである。すでに路線バスでは中国BYD社製のBEV路線バスが日本各地で走り出しており、バス事業者の間でも評価が高いとのこと。