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iモード、ひっそり新規受付終了…グーグルやアップルにも衝撃与えたのに世界展開失敗

取材・文=武松佑季、A4studio
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「日本限定とはいえ、iモードの大成功は当時の業界では世界的に知られているところで、開発の中心人物であった夏野剛氏(当時ドコモ在籍、現在はドワンゴ代表取締役社長)は、その頃に海外のモバイル系イベントに参加する際は、『Father of mobile internet services』という肩書で紹介されていたほど。グーグル元CEOのエリック・シュミットも『iモードは素晴らしいサービス。世界展開できるiモードをつくりたい』と語り、OSのアンドロイド、そしてGoogle Playを誕生させたという背景もあります。アップルも同様に、iモードのコンテンツを参考にApp Storeを開発していますし、世界のモバイルシーンで重要な役割を担ったことは確かでしょう」(同)

数多くのIT企業が成長する機会を与えた

 一方で国内に関していえば、iモードが普及しすぎたせいで、スマホの普及が遅れ、皮肉にも日本のモバイルシーンでガラパゴス化が起きたとの意見も目にするが、これに関してはどうか。

「個人的にはそこはあまり関係ないと思っています。確かに日本でのスマホの普及は若干遅れましたが、現在はすでに7割の携帯ユーザーはスマホに切り替わっているし、前述した通り、現状世界的にスタンダードとなっているサービスのベースが日本では普及しきっていたわけですから、その置き換えに時間を要するのは自然のことでしょう
(同)

 ではiモードの功罪の“罪”の要素とは?

「しいて挙げるとするならば、キャリアが決めた仕様に沿ってメーカーが端末を開発するという習慣ができあがったため、3大キャリアに認めてもらえないとメーカーは市場に参入できなかったことでしょうか。今に至ってはSIMフリー端末も市場にあるので好きなようにメーカーも端末を出せており、長期的な影響は少ないといえますが、iモードの海外展開が失敗したことで、サービスに乗っかっていた日本の端末メーカーも同じように海外展開の機会を失ってしまったともいえるでしょう。NECやパナソニックなどが端末メーカーとして生き残れなかったのも、そのあたりが要因のひとつだったかもしれません。また、端末スペックの進化に合わせ、ブラウザなどの機能をPCなどの標準に合わせていく必要もありましたが、それが遅かったのも独自規格ならではの欠点といえます」(同)

 しかし、iモードにより事業が失敗した企業もあれば、iモードによって大きく成長した企業もある。

「iモードでコンテンツを提供していたディー・エヌ・エーやドワンゴはこの成功により、今や誰もが知る大企業になっていますし、同じくグリーやコロプラも現在はスマホ向けゲームメーカーとして健闘しています。今も生き残れているかどうかはスマホにしっかりとシフトできたかどうかにもよりますが、数多くのIT企業がiモードを機に成長できたというのは、ビジネスシーン全体を見ても大きかったのではないでしょうか」(同)

 時代によって忘れられかけていたコンテンツだが、改めて振り返ってみると当時では気づかなかった功績が見えてくる。まだサービスは続くとはいえ、「iモードよ、お疲れ様」と声を掛けたくなる気持ちは、iモード全盛の当時を過ごした人なら誰でもわかるのではないだろうか。
(取材・文=武松佑季、A4studio)

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