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がん外科医の私にしか書けない「がん検診」「代替医療」の“紛れもない現実”

文・構成=編集部
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――なぜ患者さんは代替療法にのめり込んでしまうのでしょうか。

中山 保険診療に対する誤解が少なからずあると思います。医療にかかわる費用はすべて国が決めていて、しかも誰もが7~9割引で受けられる素晴らしい仕組みですが、それゆえ安かろう悪かろうと考えるのかもしれません。特にお金持ちの人は、その傾向があるように思います。

 経済原理だとそうなるのかもしれませんが、医療に限っては違うのです。治療に高いお金を払えば予後が延びるということは、今の日本ではまったくないわけです。現状でわかっているなかでの最善が、私たちが行っている標準治療であり、公的保険での治療です。そのあたりも理解されていないのかなと思います。

がん予防の6カ条

――早期発見が重要ということで、がん検診を積極的に受けるべきでしょうか。

中山 がん検診については、おおざっぱな議論ができないので1章まるまる使いました。市販されているほぼすべてのがん検診についての本を読み込み、さらに米国のデータも参照して、膨大な資料を基に書きました。個人的には、「対策型検診」と呼ばれるエビデンスがあるものであれば受けたほうがいいでしょうし、そうでないものであれば、市町村が採用していてもデメリットが大きいのではないかと思います。

 ただ、一概に言えないのでとても難しくて、「100人に1人、がんが見つかるが、5人に不利益がある」検査があったときに、それを受けるかどうかは個人の価値観によるでしょう。

――できればがんを予防したいと思うのですが、どうすればいいでしょうか。

中山 週刊誌では「医者1000人がやっている○○」といった記事が人気ですよね。科学的にわかっているがん予防はシンプルで、(1)禁煙(2)お酒を飲みすぎない(3)食生活に気をつける(減塩、野菜と果物をバランス良く、冷ましてから、など)(4)運動の習慣(5)太りすぎない、やせすぎない(6)肝炎ウイルスなどの感染をチェック、の6つです。

 ただ、がんを予防することは完全にはできず、「危険性を半分くらいに下げることはできる」のように考えていただければと思います。なぜがんになるかは、よくわかっていない面も大きいのです。

――病気になったのは自己責任、と感じる人も多そうですね。

中山 ご自分を責める方はたくさんいらっしゃいます。だからこそ、本書では「がんになったのはあなたのせいではない」と強く主張しています。専門家として、がんの患者さんを診続けている立場からこう言うことは、大切なことだと思っています。

 また、こちらはある意味で悪魔的な表現かもしれませんし、実際、事前に読んでいただいた監修者の方からは「医者がこんなことを言うと救いはない」との意見もいただきましたが、「がんにかかるのは雨降りのように自然なこと」だとも書きました。

――「良い患者」になるには、どうしたらいいでしょうか。

中山 苦しいことですが、周りと協力して、できるだけ確かな情報を集めて、たくさんの選択肢を用意した上で、ご自身の価値観で選択することができればいいのではと思います。もちろん、それが簡単ではないことはよくわかっていますが、本書がその手助けになると思います。

がん患者の家族は「第2の患者」に

――今回、なぜ本書を執筆することになったのでしょうか。

中山 私は大腸がんを専門にしている39歳の中堅外科医です。ずっと病院現場でがんの患者さんの治療をしてきて、「こんな情報があったら、もっとこの方の苦しみは減らせるのに」と思っていました。その思いから、本書を書いたのです。

 この本では、がんとの戦い方、がんの予防の仕方、そしてがんにかかってしまったときの対処法、さらには家族ががんにかかってしまったときの心構えをお伝えしています。ややこしい話は抜きにして、とにかく「使える」情報を書きました。さらには、プロの物書きとして「読みやすい読み物」になるようにもこだわりました。

 私は、この本を通じて、がんにかかってしまった方、そして家族や大切な人ががんにかかってしまった方と手を携え、少しでもその苦しみと哀しみを減らしたい。私もまた、がんで大切な友人を喪った者のひとりですから。

――読者にはどのような人を想定しているのでしょうか。

中山 ご自身や家族、知人ががんになった人、また今後がんになりたくないと思っている人、つまりほとんどすべての人を対象としました。2人に1人はがんにかかる時代です。それほど、がんは身近な問題です。特に、がんにかかった方の家族は「第2の患者」と呼ばれることもあります。そのため、ご家族の大変さにもスポットを当てたかったのです。読んで「救われた」という声もいただいており、ホッとしています。

BusinessJournal編集部

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