駐日米国大使賞を受賞したのが起爆剤に
11年、優れた起業家に贈られる「The Entreprenur Awards Japan2011」において「U.S. Ambassdors Award(駐日米国大使賞)」を受賞したことが転機となった。
同賞は在日米国大使館や在日米国商工会議所が主催。名刺管理サービスを通し国内500社以上の新しい市場を開拓してきた実績のほか、事業展開を予定している米国をはじめ海外市場でも普及の可能性を秘めたビジネスモデルが評価された。
米国大使館のお墨付きを得たことで、経済メディアは一斉に、名刺をクラウド上で管理するニュービジネスを取り上げた。
Sansanのサービスを使えば、名刺をスキャンしたり、スマホで撮ったりするだけで、サーバーに情報を保存できる。社員が交換した名刺をデータベース化して全社で共有することにより、営業支援に役立てるという月額課金サービスだ。
Sansanには上場を当て込んでファンドの投資が相次いだ。18年12月には、日本郵政キャピタルなどから30億円調達した。日本郵政キャピタルと米運用会社、Tロウ・プライスが新たな株主となったほか、SBIインベストメントと米DCMベンチャーズが追加出資。外部から資金調達を始めた13年以降、累計で約114億円を調達した。米ゴールドマン・サックスや日本経済新聞も出資している。
Sansanは法人向け名刺管理サービス市場シェアの8割を押さえている。それでも全国の就労者数で考えると1%程度にすぎない。大きな成長余地が残されている。新たなサービスや事業を行うために、Sansan はM&A(合併・買収)も検討する。
上場記者会見で寺田社長は、こう語った。
「中長期的には、配当を出すことも視野に入れている。しかし、今は市場の評価を獲得して株価を上げていくことが、より重要だと考えている」
“上場ゴール”にならないために、どんな株価引き上げ策を具体的に打ち出すことができるのか。寺田社長は市場と積極的に対話する必要がある。
(文=編集部)