
LINEの2019年1~6月期の連結決算(国際会計基準)の最終損益は、266億円の赤字(前年同期は29億円の黒字)だった。スマートフォン決済サービス、LINEペイで大規模なキャンペーンを行い、235億円を先行投資したのが原因だという。
戦略事業と位置付けるLINEペイは5月、LINEの友だちなら誰にでも1000円分のポイントをプレゼントできる「300億円祭」を開催した。
これにより、LINEペイの月間利用者数はキャンペーン実施前の190万人から490万人に増え、300万人の新規利用者を獲得した。決済の加盟店などは171万カ所に達した。ユーザーへの大盤振る舞いが、赤字としてのしかかってきた。
売上高にあたる売上収益は、前年同期比11%増の1107億円。対話アプリ内に表示するディスプレー広告の売り上げが220億円と21%伸びたほか、企業が新製品の販促などに使うアカウント広告も312億円と14%増えた。他方、本業の儲けを示す営業利益は「300億円祭」の費用負担で218億円の赤字(同103億円の黒字)に転落した。
LINEは広告などをコア事業、LINEペイなどの決済事業を戦略事業と位置付けている。コア事業の売上収益は10%増の963億円、セグメント利益は10%増の168億円と好調。足を引っ張ったのは戦略事業だ。売上収益は19%増の144億円と大きく伸びたが、セグメント損益が384億円の大赤字(前年同期は140億円の赤字)。赤字額は2.7倍に膨れ上がった。
19年12月期の通期の業績予想は公表していない。出澤剛社長兼CEO(最高経営責任者)は「戦略事業への投資額は19年第2四半期がピークになる」として、今後は「300億円祭」ほどの大型キャンペーンは行わないとの考えを示した。
とはいえ、ライバル各社と熾烈なシェア争いを繰り広げている。昨年末に最後発として参入したソフトバンクとヤフーのペイペイが仕掛けたキャッシュバックキャンペーンに対抗して、各社とも大規模なポイント還元を実施した。
ソフトバンクグループは参入にあたり、大赤字を出しても圧倒的なシェアを確保することを狙うのが得意技だ。携帯電話の「0円商法」がそうだった。
ペイペイがシェアを拡大していくのを、指を咥えて見ているわけにはいかないだろう。大掛かりなキャッシュバック還元で対抗せざるを得ない。赤字が減るとは考えられない。