ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal

今年、ドラマフリークの中でもっとも熱い支持を集めているのは、毎週土曜23時30分から放送されているドラマ枠『よるドラ』(NHK)。事実上、今年新設された深夜帯のドラマ枠であるにもかかわらず、ここまで『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』の2作で熱狂的なファンを生み出している。
しかも、3作目となる今夏放送の『だから私は推しました』は、『義母と娘のブルース』『天皇の料理番』『JIN-仁-』(いずれもTBS系)、『ごちそうさん』『おんな城主 直虎』(共にNHK)らを手掛けた業界トップの“鉄板脚本家”森下佳子のオリジナル。「深夜帯でありながら、もっとも業界注目度の高い作品」と言っていいだろう。
実際、ここまで放送された2話には、早くも絶賛の声が集まっている。どんな見どころがあり、どこが優れているのだろうか。
他人の「いいね」より自分の「好きなもの」
女性が主人公のドラマは、基本的に「女性同士のバトル」を描くのが定番だが、当作は「女性が女性を推す」というレアな形を採用。よくある「男性が女性を推す」「女性が男性を推す」という形ではないことが最大の特徴と言える。
さらに、その特徴を際立たせているのが、「アラサーOLと地下アイドル」という年齢と立場の異なる2人の設定。まったく接点のなさそうな2人が突然「推す」「推される」関係性となり、数々の握手を通して絆が生まれていく様子は、想像以上にドラマチックなものだった。
実際、遠藤愛(桜井ユキ)は栗本ハナ(白石聖)との出会いによって、2話の段階で早くも変化を見せている。「他人から『いいね』をもらえそうなものより、本当に好きなものを大切にしていこう」「キラキラと飾り立てるより、本能のおもむくままに過ごそう」と思い直し、失恋から立ち直ろうとする姿は感動的であるとともに、現代社会の風刺となる視点も見逃せない。
地下アイドルがモチーフというだけで「ただのアイドルドラマ」と揶揄されがちだが、ドキュメンタリーを思わせる成長物語やエンタメ度の高いサスペンスなどの側面も含めて、重層的な作品と言える。
地上波級のビジュアルを持つ地下アイドル
ドキュメンタリー要素のベースとなるアイドルシーンの描写は、「これまで放送されたどの作品よりもリアル」という好意的な声が目立つ。これは現場の再現にしっかり時間とお金をかけるNHKらしい制作姿勢であり、地下アイドルとしての活動歴を持つ姫乃たまの「地下アイドル考証」によるものだろう。
ステージ、運営スタッフ、イベント、グッズなどのディテールは凝りに凝っているし、トップオタや金払いのいい“太客”などのキャラクターもおもしろおかしくデフォルメされることはない。たとえば、チェキ会でファンの「結婚しようよ」という言葉にアイドルが「どうしようかな?」とはぐらかすシーンは、どこまでも自然体だった。
だからこそ、声援を飛ばすファンの温かさにほっこりさせられる一方、大金を払うことで独占欲が増していくストーカーの怖さがひしひしと伝わってくる。スターを夢見て地道にがんばるアイドルも、彼女たちを懸命に応援するファンたちも、純粋な思いの持ち主だけに、危うさと紙一重なのだろう。
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