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木村隆志「現代放送のミカタ」

NHK『だから私は推しました』が絶賛を集める理由…単なるアイドルドラマではない感動作

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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 唯一リアリティに疑問符がつくのは、アイドルグループ「サニーサイドアップ」のビジュアルレベルが高すぎること。顔もスタイルも明らかに地下ではなく地上波レベルなのだが、それでも「ゼクシィ」CMガールの幸せオーラを封印してポンコツキャラを演じる白石聖の熱演もあって、いい意味での生々しさを感じさせる。

 ドラマらしい虚実皮膜の物語ながら、地下アイドルをのぞき見する感覚が味わえるのは、これらリアリティの高さにほかならない。

実際の音楽シーンでどこまで飛躍できるか

 演出面でもひとつ挙げておきたいのは、カメラワークやカット割りの工夫。距離感とアングルのギャップを生かした編集がテンポとダイナミズムを生み、時折インサートされるイメージカットは美しく、ネット上のやり取りはわかりやすい。さらにネット上の声を見る限り、360度をぐるりと映す全方位カメラの映像に驚かされた人も多かったようだ。

 アイドルとしての楽曲、ダンス、MV、SNSなどもつくり込まれているため、今後は実際のデビュー、紅白歌合戦への出場などの展開も視野に入っているという。「サニーサイドアップが現実の音楽シーンでどこまで飛躍できるのか」も当作の醍醐味なのだ。

 これらのさまざまな仕掛け人となっているのは、28歳の高橋優香子プロデューサー。ドラマ業界の常識にとらわれない上に、NHKゆえにスポンサーや視聴率に左右される不安もないだけに、最後まで意外性あふれる仕掛けで楽しませてくれるのではないか。

 やはり、次の展開も結末もまったく読めないオリジナルはおもしろい。今夏は「プライム帯の新作ドラマがすべて原作アリ」という異常事態の中、ベテラン脚本家・森下佳子と新人プロデューサー・高橋優香子のコンビが手がける作品から目が離せそうにない。

 まだわずか2話を見ただけだが、「今夏の推しドラマは『だから私は推しました』」と断言できる。

(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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