オンキヨー、音響事業撤退…オーディオ市場消滅の危機、数十万円のマニア向けは存続

「山水電気など、早めの時期に倒れた企業は主力がコンポーネント(大型のオーディオ)製品で、時代とともに消費者の多くがミニコンポに移っていく流れに乗り切れませんでした。オンキヨーやパイオニアなど、比較的最近まで残っていた企業は、CDやMDの時代もハイコンポ(高級なミニコンポ)で業績は好調でした。しかし、音楽が配信中心でスマートフォンなどで聴く時代になり、そちらへの決定的な転換ができなかったのが撤退の理由でしょう」(同)

 オーディオといえば、良い音へのこだわりが強い人が好むイメージが強い。そのため、「オーディオ業界の衰退」と聞くと、消費者の音へのこだわりがなくなったのかと思いがちだが、そうではないという。

「スマホとイヤホンでも十分に良い音で聴くことができます。アナログ時代に比べると、ホコリによるノイズや摩耗による音質劣化はなく、低域音から高域音まで明瞭。多くのユーザーが満足できる水準にまで技術が底上げされています。オーディオメーカーの言うハイレゾなどの『高音質』も一理ありますが、一般消費者は『音質差』を『価格差』として認められない。デジタル時代の一般消費者は、低価格で利便性を重視するようになっています」(同)

 日本の得意とする“モノづくり”へのこだわりとプライドが足かせとなり、音楽をストリーミングや配信で聞く時代に対応できなかったといえる。

マニア向けの高級品市場は活況

 世界のオーディオメーカーが衰退している一方で、中国や香港ではまだまだ高級オーディオへの関心は高いようだ。

「オーディオ関連の新製品の発表は香港発となることが多くなっていることからも、現地の高級オーディオへの関心の高さがうかがえます。数十万~100万円クラスの一般向け高級オーディオメーカーのなかには、前述の通りアジア資本傘下で中国周辺での再起を図っているところもあります」(同)

 一般向け商品を多く揃えていた大手オーディオ企業が軒並み撤退するなか、マニア向けの高級~超高級製品を手がける企業は一定数存続しているというわけだ。

「100万~数千万円の超高級製品を手掛ける小規模メーカーは、日本にも存在します。このクラスの超マニア向けは、昔も今も変わらず一定のマーケットが存在しています。ドイツのハイエンドショーは活況で、中国でも購買力が高いです。メーカーも少人数で大規模な生産ラインを持たないので、トレンドの変化によるリスクは受けていない。たとえば、日本企業のZandenは国内ではほぼ無名ですが、海外で高い評価を得ています」(同)

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