ルノーの意向を無視しては重要な経営事項を一切決められない日産の実態があらわになった。本来、指名・報酬・監査の3つの委員会は利害関係のない第三者を中心に構成されるべきだが、そこに親会社、ルノーがかかわることになったわけで、企業統治に一段とゆがみが生じた。

ルノーは親子上場解消の統合案を提示

 仏マクロン大統領がルノーに「日産との経営統合を求めた」ことが、一連の騒動の発端だ。マクロン大統領は日産を仏企業にして、仏国内に日産の自動車工場をつくり雇用を創出するのが狙いだ。日産を仏大統領選の切り札に使える。

 経営統合をめぐり、日産とルノーはつばぜりあいを演じてきた。ルノーは日産に共同持ち株会社方式による経営統合を提案した。共同持ち株会社を設立して傘下に日産とルノーをぶら下げる。持ち株会社のトップにはルノーのスナール会長が就き、本社は日仏以外の第三国に置く。

 ルノーの統合案によると、持ち株会社は東京とパリの証券取引所に上場し、傘下の日産とルノーの上場は廃止する。持ち株会社の役員は両社から同数を出すというものだ。ルノーに15%出資し、ルノーに日産の経営統合を再三求めてきた仏政府は将来的に持ち株会社の株を手放すとしているが、どうなるかはわからない。

日産は業績悪化で発言力が低下

 日産の2019年4~6月期の連結決算の売上高は前年同期比12.7%減の2兆3724億円、営業利益は98.5%減の16億円と記録的な減益となった。営業利益は四半期(3カ月)ごとに数字の開示を始めた2005年3月期以降で最低。売上高営業利益率は0.1%(前年同期は4.0%)にまで急降下した。ゴーン氏の“負の遺産”といい切れないような惨状を呈した。西川氏の経営責任を問う声が一段と高まった。

 総会後の取締役会で決定した企業統治の指針によると、指名委員会は適切な後継者計画を策定し「少なくとも1年に1回見直しを行う」と規定された。指名委で西川氏の後継者選びが始まった。指名委員会は経済産業省出身の豊田正和氏が委員長。委員はレーサーの井原慶子氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメント元会長のアンドリュー・ハウス氏、取締役会議長のJXTGホールディングス相談役の木村康氏、元みずほ信託銀行副社長の永井素夫氏、そして取締役会副議長のスナール氏で構成されている。

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