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JAEA、高レベル放射性廃棄物処分の研究、突如「延長」を発表…埋め戻し計画示さず

文=明石昇二郎/ルポライター
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「研究期間を巡っては、機構(JAEA)はこれまで「『20年程度』は20年程度」などと説明し、期限を区切るのを避けてきた。道や幌延町もあいまいな解釈を放置し、その隙を突かれたといえる。(中略)道と幌延町は追加の研究が必要かも含め計画案を精査し、協定などで研究終了と埋め戻しの時期を厳格に取り決めるのが筋である」

埋め戻しの開始時期は「NUMO次第」

 高レベル放射性廃棄物を埋設処分するための適地を国(経済産業省・資源エネルギー庁)が示した「科学的特性マップ」(2017年7月。下の地図)によれば、幌延町を含む北海道内のおよそ80市町村が「最適地」とされているようだ。いつまでも埋め戻し計画が示されないのであれば、「他にいい場所がないのだから」と言いながら、なし崩し的に幌延町が処分地にされる恐れが浮上する。

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高レベル放射性廃棄物を埋設処分するための適地を、経済産業省・資源エネルギー庁が示した「科学的特性マップ」(2017年7月)

 

 高レベル放射性廃棄物を地層処分(=埋設処分)する場所は、20年以上前から探しているのに、今なお決まっていない。埋設処分を実際に実施するのはJAEAではなく、経済産業省が所管するNUMO(ニューモ/原子力発電環境整備機構)という別の法人である。念のため、幌延町での新計画案にある、「地層処分の技術基盤の整備の完了が確認できれば、埋め戻しを行うことを具体的工程として示します」との文言の意味を、8月8日、JAEAの報道課に確認した。

 NUMOが今後、地層処分地を決めた場合、これまでJAEAが研究で得た成果をNUMOにフィードバックするのだが、それが「地層処分の技術基盤の整備の完了」になるそうである。埋め戻し作業の具体的なスケジュールを地元にお知らせするのはその後になり、埋め戻し作業の完了はさらにその先となる。

 この日、原子力規制委員会の更田豊志委員長が幌延深地層研究センターを訪れ、深さ350メートルの地下坑道を視察した。この模様を報じた8月9日付北海道新聞によれば、JAEAのOBでもある更田委員長は、「施設を見た感想は、まだまだ研究施設として有益なものだと思う。関係者のご理解を得て(研究)期間を延長するというのはふさわしい判断だと思う」と、古巣をあけすけに激励。福島第一原発事故前と寸分違わぬ原子力規制当局の姿が、そこにあった。

 かつての動燃が晒した醜態を彷彿とさせる、JAEAの「核のゴミ捨て場研究」延命作戦。しかし、作戦はまだ「計画案」の段階であり、彼らの思惑どおりにコトが運ぶかどうかは、今後の地元行政の態度いかんにかかっている。

(文=明石昇二郎/ルポライター)

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