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岡田正彦「歪められた現代医療のエビデンス:正しい健康法はこれだ!」

突然生まれた病気“線維筋痛症”と大ヒット鎮痛剤に疑惑…根拠不明、服用に危険性指摘

文=岡田正彦/新潟大学名誉教授
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 私自身にも似たような経験があります。他院で線維筋痛症と診断され、同薬の処方を受けている人が少なからずいて、なかには絶対に服用をやめてはいけないと告げられている人もいます。このような人たちに対し、痛みの多くは精神的なものであり、リハビリなどに励むことで自然に治っていくことをしっかり説明すると、例外なく症状は改善し、服用をやめることができるのです。

継続的な服用に注意喚起

 今まで聞いたこともなかった病気が突然有名になり、しかも該当者が続々現れるということ自体、いかにも不自然です。この薬については、偽薬(プラセボ)と比べるとあきらかな効果が認められると結論した論文は多いのですが、知りたいのは、ロキソニンなど昔からある鎮痛剤に比べて有用なのかということです。【注2】は、その効果を他の鎮痛剤と比較した論文ですが、対象となった患者は腰痛を訴える人たちで、結論は従来の薬との間で効果にまったく差がなかったというものでした。

 脊柱管狭窄症という病気があります。背骨の変形で神経が圧迫され、腰痛などを起こすというものですが、この薬が神経の痛みに本当に有効なのであれば、このような症状にこそよく効くはずです。しかし患者を2群に分け、一方に同薬を、他方にプラセボを飲ませたところ、やはり効果に違いは認められなかったそうです【注3】。

 つい最近、ニューヨークタイムズ紙は再びこの問題を取り上げ、習慣性があること、突然やめると禁断症状が出ること、長く飲み続けた場合の副作用がわからないこと、など問題が多すぎるにもかかわらず、医師が使い続けていることに疑問を呈していました。

(文=岡田正彦/新潟大学名誉教授)

参考文献

【注1】Berenson A, Drug approved, is disease real? The New York Times JAN 14, 2008.

【注2】Enthoven WTM, et al., Non-steroidal anti-inflammatory drugs for chronic low back pain. Cochrane Database Syst Rev 10; 2: CD012087, 2016.

【注3】Markman JD, et al., Double-blind, randomized, controlled, crossover trial of pregabalin for neurogenic claudication. Neurology. 84: 265-272, 2015.

【注4】Brody JE, Millions take gabapentin for pain. but there’s scant evidence it works. New York Times, May 20, 2019.

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