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日立製作所、重電企業から巨大IT企業へ変貌…“ルマーダ最重視”経営で容赦なきグループ解体

文=編集部
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上場子会社4社が足を引っ張る

 日立の19年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は、親と子の明暗がはっきりした。

 売上高にあたる売上収益は2兆325億円と前年同期比6.2%減少し、調整後の営業利益は1243億円と16.0%減った。売上収益営業利益率は6.1%と0.7ポイント低下した。最終損益は株式売却益があり14.3%増の1203億円となったものの、本業の苦戦が目立った。

 成長部門と位置付けるITは好調だ。部門別の調整後営業利益は14.5%増の402億円となり、営業利益率は8.7%と日立全体(6.1%)を上回った。特にIoT基盤のルマーダを活用したサービスが伸びた。一方で上場子会社4社が業績の足を引っ張った。

【上場子会社の19年4~6月期決算】( )内は前年同期比
※社名:売上収益、調整後営業利益、営業利益率

日立ハイテクノロジーズ:1616億円(6.6%減)、141億円(13.5%減)、8.7%
日立建機:2346億円(2.3%減)、226億円(17.2%減)、9.6%
・日立金属:2339億円(9.7%減)、55億円(65.4%減)、2.3%
・日立化成:1559億円(7.7%減)、74億円(36.2%減)、4.7%

 日立製作所の4~6月期連結決算のセグメント売上収益・調整後営業利益を基に、増減比を作成した。調整後営業利益は売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を差し引いた日立グループの独自の指標である。

 4社の調整後営業利益の合計は496億円で、日立グループ全体(1243億円)の4割にとどまる。上場子会社は景気の影響を受けやすい事業が多く、これまでも景気の回復局面では日立グループの業績に貢献してきたが、ここにきて減速している。

 株式市場からは「景気の影響を受けやすい上場子会社をいつまで抱えているのか」と指摘されてきた。

 日立化成を売却する方針で複数企業と交渉を進めている。日立化成は日立金属、日立電線(現・日立金属)と並ぶ日立グループの「御三家」の一角だが、再編に聖域は設けない。残り3社についても、ルマーダと親和性がなければ、連結決算から外す方向だ。

 その日立化成だが、8月16日に株価が急騰した。一時、380円(12.7%)高の3365円となり、年初来高値を更新した。終値は3310円(325円)だった。日立製作所による日立化成の売却は入札段階にあるとみられているが、米ペインキャピタルやカーライル・グループなど複数のファンド及び企業から買収提案を受けたと、一部のメディアが報道したため、株価が上昇した。TOB価格が高騰し、TOBで完全子会社にする場合、買収資金が8000億円を超える可能性が出てきた。当初、売却価格は6000~7000億円とされていたが、複数のオファーがあったことでTOB価格が高騰すると株式市場は読んだようだ。日立化成株を51.2%保有する日立製作所にもメリットがある。日立化成株は日立製作所の売却方針が報じられた3月に急上昇。株価2000円割れの水準から4月に3000円台に跳ね上がり、「買収に複数提案」報道でさらに高くなった。

 日立製作所は、大型発電機など重電部門が花形部署で“重電にあらざれば人にあらず”といわれた時代があったが、今はルマーダが同社の未来を担う花形事業となった。
(文=編集部)

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