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HIS、ユニゾへの敵対的TOBにソフトバンク系も参戦…「必要な企業は買収」が定着か

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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TOBの今後の展開予想

 HISによるユニゾへの敵対的TOBがどのような決着を迎えるかは、現時点で判断することが難しい。ただ、今回の案件は、波風を立てることを避け、友好的な買収が多かった国内M&A市場に一石を投じるものになる可能性がある。それは、企業経営に大きな影響を与えるだろう。

 ユニゾはソフトバンクが買収した投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループと組んで別途TOBを行い、株式の非公開化を目指すとの報道も出ている。ソフトバンクは企業家の人柄を見極めた上でスタートアップ企業など出資を行い、成長を実現してきた孫正義氏が率いている。ソフトバンク傘下のファンドがTOBに絡むことによって、どのようにユニゾとHIS双方が市場参加者の賛同を取り付け、自らの目指す状況を実現するかといった点に関心が集まるだろう。

 どのような展開になるか不確実な部分が多いが、今回のTOB合戦は、日本企業にとって買収戦略の意義と重要性を考える重要な機会となるだろう。HISは買収を通して成長のための要素を取り込みたい。一方、ユニゾはこれまでの経営風土を守りたい。そうした企業の考えがどのように実現されていくかは、他の企業にとっても大いに参考となると考える。

 今後の展開によっては、買収は成長に必要な要素を取り込む手段のひとつとの見方が、さらに増えることもあるだろう。すでに日本電産のように買収を行うことを通して、事業ポートフォリオの分散と収益源の多角化を進めることで成長してきた企業もある。そうした考えが増えることは、日本経済のダイナミズムの引き上げに大切だ。

 突き詰めて言えば、日本における企業は売買するものではないという考え方が変わる可能性もある。中小企業の後継者問題の解決などわが国の経営資源をより有効かつ効率的に活用していくために買収に関する考え方がどのように変化していくか、興味深い。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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