金融庁と長門社長の確執

 今回、金融庁が厳しく対応することになったのは、日本郵政の長門社長との確執があるからといわれている。郵政グループは、持株会社の長門社長(旧みずほコーポレート銀行出身)、子会社の日本郵便の横山社長(三井住友銀行出身)、ゆうちょ銀行の池田憲人社長(横浜銀行出身で足利銀行の元頭取)の3人は、銀行出身者ということもあって関係が微妙だ。かんぽ生命の植平社長は東京海上日動火災保険出身の保険畑だ。長門氏は郵政省出身でプロパーの日本郵政の鈴木康雄副社長との関係は良好といわれ、郵政族議員や組合とも関係は良い。

 金融庁と長門氏の確執は、今年4月に郵便貯金の預入限度額が2600万円まで引き上げられた一件で表面化した。参院選を前に、特定郵便局長会の票目当てに引き上げられた。この決定は、1年前の昨年3月、郵政民営化委員会で行われた。そこに長門社長が呼ばれ、限度額撤廃を要望した。これに当時の金融庁長官の森信親氏が激怒した。

「日本郵政は半官半民で民業圧迫といわれないよう厳格なルールがある。貯金を集めても、運用できない。貯金だけ増えれば、金融システムがおかしくなり、リスクが高まるというのが森長官が怒った理由だ」(金融アナリスト)

「もともと、長門氏が日本郵政の社長になったのは、森長官が引き上げたから。つまり、長門氏は森さんの子飼いだった。ところが、その子飼いに手を噛まれたわけだ」(郵政グループの元幹部)

 記者会見で長門社長は「限度額の件は委員会が決めることで、政令マターなので、私が決めることではない」と発言。森長官に示した態度と180度違っていた。

「民営化委員会は郵政族の息がかかっている。“二枚舌”を使ったことでさらに森氏が激怒。長官交代時に遠藤現長官に“長門更迭”を引き継いだといわれている」(全国紙の金融担当記者)

 焦点は、金融庁が保険業法に抵触するとして、かんぽ生命に業務改善命令をいつ出すかだ。かんぽ生命は上場企業である。植平社長の引責辞任に発展する可能性が大きい。日本郵便に対しても業務改善命令が出れば、同社の横山社長の責任問題が浮上する。その時には、日本郵政の長門社長の去就を含めた話となる。

 かんぽ生命と日本郵便は保険商品の販売を8月末まで自粛するが、調査は長引きそうだ。アフラックのがん保険の販売は継続中だ。アフラックのがん保険でも二重徴収のリスクが残り続けたまま、販売が続けられている。日本郵政の株価が連日、上場来安値に沈んでいる。8月6日には一時、1010円。4ケタ割れが視野に入ってきた。株式市場では、日本郵政株の追加売り出しが、早くても年末、遅ければ20年3月末まで先送りされるとの見方が浮上している。そうなると、長門社長の首筋がいっそう寒くなる。

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