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森友問題、検察が不起訴決定で“巨悪を守る”…財務省の文書改ざん等、法的責任を問わず

青木泰/環境ジャーナリスト
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 国は約8億円の値引き理由は約2万トンの埋設ごみの撤去費用であると説明し、払い下げは適正に行われていると説明した。鑑定価格の10分の1での払い下げは不当ではなかったのか。安倍首相や昭恵氏の関与はなかったのか。2万トンの埋設ごみが値引きの理由とされたが、実際はどうだったのか。

 今回の検察特捜部の不起訴決定は、国民の誰もが持ったこうした疑問に一切答えず、捜査終結という発表であった。少なくとも検察は、検察審査会が指摘した再捜査要請に対し、どのように捜査したのかを説明し、そこでわかった事実や起訴に至らなかった理由を明らかにすべきであった。朝日新聞は1面と2面に加え、社会面を大きく使って『森友改ざん 残る謎―特捜部、市民感覚とずれ』と報じ、『森友「捜査尽くしたか」―告発者ら、「不起訴納得できない」』と報じたが、上記の疑問が残ったからであろう。

 検察特捜部が巨悪を前に尻尾を巻いて逃げ出したのなら、私たち国民が直接この森友事件と向かい合い、国会を通して真相究明することが求められている。
  

違法な改ざんと職員の死、沈黙する検察

 検察は、改ざんにかかわる不当な業務の押しつけを受け、精神的に追い込まれ、自死するに至った近畿財務局の職員Aさんの死の真相究明にも蓋をしてしまった。この問題は、売買契約書の決裁文書が改ざんされ、さらに森友学園などとの交渉や提出書類などが、廃棄されていた件である。森友への払い下げの契約決裁文書が、森友事件が公になった後の17年4月に約300カ所にわたり改ざんされていたのである。

 この件が18年3月に朝日新聞によってスクープされ、国が改ざんを認めた後、国の根幹にかかわる公文書の改ざんとして世間から批判を浴びた。読売新聞なども「政府の活動の根本部分に改ざんがあったというのは、民主主義の下での行政運営を揺るがす(略)由々しき問題」「決裁文書は組織内での調整のうえ、最終的な意思決定をしたことを記す(略)行政官が『忖度』で対応する水準を超えている」などと専門家の見解を示し、国家を揺るがせる犯罪行為だと批判した。

 その後の18年6月、その改ざん文書とは別に、森友問題にかかわる約4000ページに上る公文書、これまで廃棄されたとしていた公文書が、財務省から公表された。担当者個人が持っていた情報を集めて報告したという。財務省は、会計検査院にすらこの改ざん前の文書や廃棄したという文書は隠していた。

 もちろん公文書の改ざんや廃棄は違法行為であり、罰則規定もある。契約決裁文書の改ざんは、有印公文書変造・同行使罪にあたる。廃棄は公用文書等毀棄罪に問われる。このように森友事件では、これら改ざんや廃棄を行った責任者や実行者が刑事責任を問われる一方、この違法な改ざんの実務を担わされた職員が死亡しているという問題がある。その職員を長期療養に追い込み、死に至らしめた加害者による傷害罪、場合によっては殺人罪の容疑については、どのように捜査したのか。Aさんに改ざんの仕事を押し付ける業務命令は、誰が行ったのかを、検察は調べたのだろうか。

森友問題、検察が不起訴決定で“巨悪を守る”…財務省の文書改ざん等、法的責任を問わずの画像2
写真2 4000ページの公文書

 

 17年に改ざんに主にかかわった、近畿財務局のAさんは、17年に精神を病み、体調を崩し、そのまま長期休暇に入った。そして朝日新聞が、翌年の18年3月に改ざん問題をスクープした直後、近畿財務局に出勤し、自宅に帰った後に自死しているのである。法に基づき業務を行うことが定められている公務員が、不法な業務を強いられた時には、当然正義感を持つ職員は、その業務の遂行に抵抗を示すであろう。今回のような改ざんを業務として押し付けられれば、どれだけの精神的負担になるか想像に難くない。その責任は、業務を強いた者に責任がある。

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