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浜田和幸「日本人のサバイバルのために」

経済大国化するベトナム、日本の最重要パートナーに…“日越同盟”が日本経済を大きく左右

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米中対立で「漁夫の利」を得るベトナム

 さて、大阪のG20サミットでも関心を集めたが、米中貿易対立の行方には世界が注目している。5Gに代表されるように、中国ファーウェイの進める技術覇権戦略に対し、全面戦争もいとわない姿勢を見せるトランプ政権である。そんな米中対立の激化から「漁夫の利」を得ようとしているのがベトナムだ。

 ベトナム人の耐久力の強さは歴史が証明している。フランスの植民地から脱却し、中国との国境戦争にも負けず、ベトナム戦争では「世界最強」とうたわれたアメリカ軍を追い出し、独立を勝ち取ったことは記憶に新しい。

 何しろ、米中貿易戦争の煽りで、アメリカから中国製品が締め出される恐れが日に日に大きくなっているため、中国に進出していた外国企業やアメリカ市場で大儲けしていた中国や香港の企業が相次いでベトナムに製造拠点を移し始めている。サプライチェーンが大きく変動するなかで、「チャイナ・プラス・ワン」の代名詞ともなったベトナムの占める役割は拡大の一途である。

 ベトナムの強みは政権の安定と経済成長路線にほかならない。2019年のGDP予測は6.7%と高く、インフレ率も失業率も4%を下回る。しかも、地方の少数民族の貧困は問題ではあるが、国全体で見れば貧困率は1.5%にすぎず、周辺の東南アジア諸国とは大違いである。

 特に注目株といわれるのが冒頭に触れたビン・グループであろう。ベトナム最大手の不動産開発やショッピングモール、病院、学校経営で知られる企業だが、昨年、ベトナム初の国産自動車製造会社ビン・ファストを立ち上げ、2019年から販売を開始する予定である。また、同社はスマホ製造も開始し、韓国のサムスンへの最大の供給メーカーの座を獲得し、自前のブランドで国際市場へ打って出る準備を着々と進めている。

 そんな活気溢れる若い国に魅せられ、米国のトランプ大統領はすでに2度も足を運んでいる。 日本は昨年、ベトナムとの国交樹立45周年を祝ったばかりで、安倍首相も「トランプ大統領に負けてはならぬ」と2度の訪問を実現させている。

 日本では知られていないが、ベトナムの外交手腕は強かである。日本にとっては拉致問題が未解決のために国交正常化交渉が進まない北朝鮮とも、親密な関係を構築している。金正恩労働党委員長自らが「ベトナムに学べ」と大号令をかけているほど、北朝鮮におけるベトナムの存在は大きくなる一方である。本年2月に開催された2度目の米朝首脳会談も、ベトナムのハノイが舞台となった。

 要は、アメリカとも、中国、北朝鮮とも、はたまたロシアや日本ともがっちりと手を握っている。それが未来の大国ベトナムの真骨頂といったところである。日本も大いに参考にすべきではなかろうか。

急速にIT大国化

 そんなベトナムが今、もっとも力を注いでいるのがIT産業の育成にほかならない
。2012年に「科学技術に関する国家戦略」を策定したベトナム。そこで掲げられた目標は「2020年までにGDPの45%をハイテク産業で生み出す」という野心的なもの。この方針の下、情報技術省が中心となり、国内のIT関連企業の育成が始まった。

 もともと「新しいもの好き」の国民性で知られるベトナム人である。国内6000万人のネット利用者の大半にとって、フェイスブックとユーチューブが欠かせない。特にフェイスブックの利用者は急速に伸びており、5800万人に達し、世界では7番目となったという。

 また、メッセージ送信アプリのザロはベトナムでは3500万人が利用しており、中国のテンセントの傘下にあるWeChatやフェイスブックが運用するWhatsAppより人気が高い。そうした外国のアプリに依存するのではなく、ベトナム独自のソーシャルメディアを広める方向をベトナム政府は打ち出した。「2022年を目標に国産のIT技術でソーシャルメディア市場の70%を押さえる」ことが決定。

 今後ビジネスの主流に躍り出るに違いないネット販売の分野でも、自国企業を支援する考えを鮮明に打ち出している。そのため、この分野では圧倒的なシェアを誇る中国のJD.comが、ベトナムのローカル企業のティキへの投資を決めたほどである。

 そうしたなか、ベトナム最大の民営企業であるビン・グループも新たな動きを見せ始めた。人工知能(AI)とソフトウェア開発を専門にする新会社を立ち上げるというのである。その名は「ビンテック」。アメリカのシリコンバレーのベトナム版を目指すという触れ込みである。ビッグデータの活用を主眼とし、関連するハイテク分野を先導するとの方針が発表された。こうした動きは明らかにベトナム政府の標榜する「2020年国家戦略」に沿ったもの。実は、こうした国家戦略を立案、推進する要役を果たすのが情報技術省であり、そのトップに就任したのが元ビエッテルの社長のフン氏。ビエッテルといえばベトナム最大のテレコム会社で、その影響力はミャンマーなど周辺の途上国に広く及んでいる。

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