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『全裸監督』の破壊力がすごい! 地上波では絶対流せない「究極の闘い」

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『全裸監督』の破壊力がすごい! 地上波では絶対流せない「究極の闘い」の画像1
NETFLIIX『全裸監督』HPより


人に優しいニュースサイト「TABLO」編集長が、オトナのための映像作品を紹介します。

役者たちの「体当たり」以上の演技がすごい

 8月8日からNetflixで配信が開始された『全裸監督』が前評判通り、SNSなどで高い評価を受けている。美文家として知られているノンフィクション作家・本橋信宏さんの原作を映像化したもの。かつて「AVの帝王」と呼ばれ、バブル崩壊後の日本のAV業界の風雲児として名を馳せた、村西とおる監督の半生を描いた作品だ

 本橋さんと僕は20年以上の付き合いになる。本橋さんは、かつて村西監督が所属していたAVメーカー、クリスタル映像で広報や脚本を手掛け、村西監督の全盛期を間近で見てきた人だ。だから、僕は村西監督とは面識はないものの、本橋さんの口からよく、村西監督の話を聞いていた。したがって、なんとなく知り合いのような気もしている。また、「村西サンドバッグ軍団」と称された村西監督下で鍛えられた、元AV男優でAV監督の日比野正明さんに何回か取材したことがあり、それも親近感を抱く原因なのだろう。

 今回の映像作品の原作は『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)だが、それ以前に本橋さんは『AV時代 村西とおるとその時代』 (幻冬舎アウトロー文庫)を上梓しており、こちらも一部で「大宅壮一ノンフィクション大賞を取るのではないか」と評された良作である。

 しっかりとした原作に支えられた『全裸監督』だが、村西監督役を演じた山田孝之の演技に、視聴者は視聴開始のわずか数分後には度肝を抜かれるだろう。村西監督が開発したとされる“駅弁”など、地上波テレビでは放送不可能であろう、迫真のセックスシーンが展開される。映画館で流しても年齢制限が設けられるであろう(良い意味で)問題作。「もはやポルノでは」と感じる描写も多々あり、なかなか刺激的である。これが実現できたのは、Netflixならではだ。

 テレビドラマ版『白夜行』(2006年)で初めて山田孝之を見て、背筋がゾクっとしたほど真に迫った演技に驚かされた記憶があるが、世界配信される『全裸監督』によって、彼の存在は日本の俳優の中では頭ひとつ抜けたような気がする。一気に日本芸能史に残る存在になったといえるだろう。

 また相棒役を務める玉山鉄二は映画『手紙』(2006年)で山田孝之の兄弟役を演じていたが、そのコンビがまた見られるのも趣深い。男所帯に交じって、紅一点のメイク役の伊藤沙莉は映画『悪の教典』(2012年)から個人的に注目していたのだが、嫌味のない演技を魅せてくれて将来が楽しみ。ちなみに『悪の教典』は、山田孝之もチョイ役で出演している。

 この作品のもう一人の主人公が、AV女優の黒木香である。その黒木役を演じた森田望智が「体当たり」といえる以上の演技を見せている。脅威の新人だ。

 黒木は横浜国立大学在学中に、脇毛を惜しげもなくさらした『SMっぽいの好き』でデビューし、その独特で知的な話し口は文化人方面からも関心を集めた人物である。感じた時にほら貝の笛を吹くというギミックが、なんともエロチックだったことを中学生だった僕は記憶している。そんな彼女と村西監督が熱愛関係にあったという噂は聞いていたが、この作品ではかなり踏み込んで描かれている。

  監督は『百円の恋』の武正晴。眩暈がするようなこの作品が醸し出す空気にすっかりやられてしまったが、武監督ならではの演出、編集によるところは大きいだろう。時折、セックスシーンをスローで見せるところなどは、安藤サクラが『百円の恋』で見せたボクシングシーンを彷彿とさせるものだった。この作品ではセックスは、真剣を交える究極の闘いなのだ。

反発は覚悟の上!?の「全身男目線」

 そんな『全裸監督』は間違いなく面白い。だが、反発も買うと思う。すでにSNS上では批判がちらほら見られる。物語がAVのつくり手側からの視点で進行しており、出演したAV女優側が本当のところ、どう思っているのかというのが、あまりわからない。

 物語があまりによくできている分、例えば、黒木香のデビューの動機は果たして作品で描かれた通りなのか。あるいは、現在はどういう考えを村西監督に抱いているのかなどの思いを、見る側に抱かせる面もある。AV強要問題が騒がれている昨今、疑問や反発は今後も出てくると思う。

 ちなみに、僕も少ないながらも複数の熟女系AV女優にインタビューしたことがあったのだが、口を揃えて「強要はないんですけどねぇ」という答えだった。

 一方で、別角度から取材していると、準暴力団(半グレ)が仕切っていた業界であるという話は聞いたことがある。『全裸監督』では、そういった「闇」の部分が描ききれていない。ヤクザの存在や裏ビデオがシノギになっていたことは登場してくるが、突っ込みが入る余地はあるかもしれない。

 そういった面を抜きにして、あくまで「全身男目線」で見れば、1970~80年代の男子が怖くて足を踏み入れられなった歌舞伎町の実態や、同級生がこっそり見せてくれたビニ本の世界など、当時の男子なら大体が通って来たであろう「エロの洗礼」がしっかりと映像化されており、ノスタルジックな楽しみはある。

 俳優、女優、監督ともに「全力」を出し切っていることが、見る側に伝わってくるのが『全裸監督』の高評価の理由だろう。その演技や演出だけでも一見の価値ありである。とはいえ、『カメラを止めるな』のように過剰に評価され(五点満点中四点くらいの面白さはあったとは言え)、「サブカルの人たち」が浮つく姿には乗せられないようにしたいものである。
(文=久田将義/TABLO編集長)

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