相原孝夫「仕事と会社の鉄則」

「知能の高い人」が仕事で成功できない3つの理由…知能が低くても成功する人の共通点

「習得型」の人は成長を望む。技能や能力を高め、よりよい存在になろうとするのだ。そのような人は、「自己承認」ではなく「自己成長」という点を重視している。「証明型」の人が優れた存在であること「Be Good」を証明しようとするのに対して、「習得型」の人は優れた存在になること「Get Better」を重視するのだ。

「習得型の人」は、壁を越えるために同僚にアドバイスを求める。後輩からでさえ何かを学ぼうとする。一方、「証明型」の人は、自分に能力がないことを相手に知られたくないために、助けを求めることを躊躇しがちである。助けを求めることを自らの能力のなさを周りに示すことだと見なす傾向があるのだ。

自分を「試作品」だと思う

 こうしたタイプは、周囲から認められない場合、周囲が見る目がない、見る観点が間違っていると思うだけで、改善しようとはしない。フラストレーションを溜めてますます閉じこもりがちとなったりもするので、なかなかそこから脱皮することは難しい。とは言うものの、かつての部下で、こうしたタイプの代表のような者が、ある時点を境にだいぶ望ましい方向へと変わっていったということがあったので、一つの例として最後に紹介しておきたい。

 上司であった私自身、実はどのようにしたらそういうタイプの人が良い方向へ向かうのか、どのようなアドバイスが有効なのか、皆目わからなかったので、質より量ということで、とにかく思いついたことをいろいろと言ってみた。

 あとから当人に聞いてみて、どうやら一番響いていたらしいのは、「自分を試作品だと思え」と言ったことであったようだ。社会に出た時点で「完成品」であるはずはないのだから、「試作品」だと思って完成させていくためにたくさん失敗する必要があるというようなことを確か言った。彼は優秀であり、自信があり、ある面、「完璧主義」的なところがあったので、「完成品へ向けて」という点がどうやら響いたようだ。実際にはいつまで経っても完成することなどないプロセスではあるのだが、とにかくその彼は、自分の満足のいく完成形を目指して試行錯誤するようになったのであった。

(文=相原孝夫/HRアドバンテージ社長、人事・組織コンサルタント)

相原孝夫/HRアドバンテージ社長、人事・組織コンサルタント

早稲田大学大学院社会科学研究科博士前期課程修了。マーサージャパン副社長を経て現職。人材の評価、選抜、育成および組織開発に関わる企業支援を専門とする。著書に『コンピテンシー活用の実際』『会社人生は「評判」で決まる』『ハイパフォーマー 彼らの法則』『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか』など多数。

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