ポスト五輪の東京~2020年以降も勝つまち、負けるまち~ポスト五輪を待ち受ける23区の勝ち目、弱り目

東京・世田谷区と杉並区、「住むまち」として人気衰退の理由…時代に取り残された中央線沿線

世田谷区成城の成城大学(「Wikipedia」より/Seijokoho)

 リクルート住まいカンパニーが毎年公表している「SUUMO住みたい街ランキング」。メディアを賑わすのは駅別のランキングだが、筆者の興味はデータとの比較検証ができる自治体ランキングのほうだ。このランキングが何を示しているのかについては諸説あるだろう。しかし、多くの人が「住んでみたい」と憧れるまちの実態を映し出していることは間違いない。

 2019年の関東版自治体ランキングを見ると、1位は都心居住人気を象徴する港区。4年連続のトップだそうだ。2位は世田谷区で、これも4年連続。5年前までは世田谷区が1位だったから、継続してトップ2を保ち続けていることになる。3位は目黒区。18年には4位にランクダウンしたものの、ほぼ一貫して3位の地位を保持している。

 世田谷区、目黒区と並び、西部山の手地区の一画を占める杉並区は10位(23区に限ると9位)。同区の23区でのポジションは、13~14年の4位から年々ランクを下げ、近年は9~10位に落ち込んでいる。それでも、23区の中で上位にあることに変わりはない。

 実際、西部山の手は高級住宅地のイメージが強い。世田谷区の成城、上野毛、等々力。目黒区の八雲、柿の木坂、西郷山(住所は青葉台)。杉並区の久我山、永福、浜田山。山の手ブランドを象徴する、いずれ劣らぬハイソなまちだ。

 ところが、本連載の『東京・下町、人口流入&地価上昇が鮮明…都心へのアクセスと生活のコスパに優れる“一挙両得”』の回で指摘した通り、西部山の手地区の住宅地地価上昇率は近年、23区の中で下位に甘んじている。人気が高いまちなら地価が上がるはずだから、この事実は西部山の手地区の人気に陰りが生じてきたことを示していることになる。憧れのまちで、いったい何が起きているのだろうか。

高級住宅地なんてもう古い?

 今度は駅別のほうを見てみよう。住みたい自治体2位とはいっても、世田谷区内のトップ・二子玉川の順位は17位。以下、37位の三軒茶屋、43位の下北沢と続き、4番目の成城学園前は122位。目黒区のほうは、目黒(7位、ただし目黒駅の住所は品川区)、中目黒(12位)、自由が丘(19位)と、世田谷区と比べれば上位に入っているまちが多いものの、いわゆる高級住宅地となると、西郷山の最寄り駅である代官山の73位が最上位だ。

 19年のランキングで公表されているのは161位まで。この中に、前述した由緒正しき高級住宅地の名前はほとんど出てこない。高級住宅地の代名詞である大田区の田園調布は137位。そもそも、高級住宅地の人気自体が低いのだ。

取り残される中央線沿線と杉並区の悲哀

 山の手人気低迷の実態をもう少し詳しく知る手がかりとして、近年「住みたい自治体」のランクが低下している杉並区に焦点を当ててみよう。

 杉並区だけがランクを落としているのではない。杉並区に隣接する東京都武蔵野市は、「住みたい街(駅)」の上位常連である吉祥寺があるところ。その武蔵野市の自治体別ランキングは13~15年には関東地区の5位だったが、19年には12位に落ち込んでいる。18年は18位、17年は14位。ランクダウンは構造的な流れと見受けられる。

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