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ポスト五輪の東京~2020年以降も勝つまち、負けるまち~ポスト五輪を待ち受ける23区の勝ち目、弱り目

東京・世田谷区と杉並区、「住むまち」として人気衰退の理由…時代に取り残された中央線沿線

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 西部山の手の雄たる世田谷区では、高級住宅地離れと都心へのアクセスの悪さから、人気の低迷が否定できない。若いファミリー層の間には、もはや世田谷にこだわるのは古いという考えが広まり始めているようだ。その結果として、地価も上がらず、いわゆる「山の手地区の凋落」が象徴的に現われている。

 都心への交通の便に優れる目黒区は、今や「都心的」な枠内に組み込まれつつある。ただし、目黒区の平均住宅地地価は23区中6位と、10位の世田谷区や13位の杉並区と比べ高い。このため、都心と同様の高止まり傾向が現れ、地価が伸び悩んでいる。

 杉並区で人口が増えているエリアは、中央線沿線と最南部の京王線沿線に集中している。鉄道の便が相対的に悪い杉並区の中で、これらのまちは都心アクセスの利便性がまだ高い。同時にここは、若いひとり暮らしが多い副都心的な特徴を持ったまちでもあり、副都心の見直しが杉並区内の同じような特徴を待ったまちにも波及し出していることが想像できる。

 その一方で、井の頭線沿線に代表される高級住宅地は世田谷型の低迷に見舞われている。杉並区では、区全体の地価の伸び悩み以上に、区内格差の発生のほうが深刻な課題だといえそうだ。

西部山の手の内部崩壊が始まった

 この仮説が意味しているのは、高級住宅地という求心力でまとまっていた西部山の手地区が内部崩壊を始め出した姿だ。もはや、「山の手ライフ」という言葉だけで多くの人々を惹きつける時代ではなくなったのだろうか。

 かつて西部山の手の求心力として機能し、今や時代遅れとなった存在の代表は「専業主婦文化」。以前、筆者は著書の中で、山の手地区で集積度が高い機能と照らし合わせながら、文化教室に通い、手づくりの嗜好品を重視し、家を花で飾り、ペットと暮らすことを楽しむ山の手ライフスタイルは専業主婦のまちだからこそ成立する、と指摘した。東京・世田谷区と杉並区、「住むまち」として人気衰退の理由…時代に取り残された中央線沿線の画像3

 図表2に示す通り、かつて東京は専業主婦が多いという特徴があり、なかでも西部山の手地区は全国平均を大きく上回る専業主婦のまちだった。しかし今日、西部山の手地区の専業主婦率は全国平均とほとんど差がなくなっている。女性の社会進出が進み、専業主婦が少なくなったことによって、「山の手モデル」とでも呼ぶべき同地区特有の生活スタイルも過去の遺物と化しつつある。

 働くことを通じた社会とのかかわりに自己実現を求める女性が多くなってきたことに、西部山の手地区が直面する課題の根源があるのなら、病は重いといわざるを得ない。

(文=池田利道/東京23区研究所所長)

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