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GAFA匹敵の巨大IT企業がいない「経団連」に主導される日本経済の不幸

文=編集部

もはや経団連会長ポストは名誉職?

 経団連の歴史的使命は終わったと、かねて指摘されてきた。日本の産業構造は、製造業からサービス業に転換した。だが、経団連は重厚長大産業の製造業が主力メンバーだ。IT(情報技術)化に、完全に立ち遅れた。

 米国ではGAFA(グーグルアップル、フェイスブック、アマゾン)が、中国ではBAT(バイドゥ、アリハバ、テンセント)が台頭したが、日本にはそれらに匹敵するようなIT企業は誕生しなかった。

 経団連の政治への影響力も低下した。1974年7月の参議院選挙では、自民党から経団連に300億円の献金要請があり、党を率いる田中角栄首相がヘリコプターで全国を飛び回り、湯水のごとくカネをばらまいて「金権選挙の極み」との批判を浴びた。だが、それも今や昔。今年の参院選では、経団連の存在感はまったくといいほど見られなかった。

 2012年の第2次安倍晋三政権誕生後、官邸と経団連の力関係は大きく変わった。安倍氏が自民党総裁に帰り咲いた早々、外交や金融政策に注文をつけた当時の米倉弘昌・経団連会長に安倍氏は激しく反発。第2次政権発足後、経団連会長の「指定席」といわれた経済財政諮問会議の議員のポストを米倉氏には与えなかった。一転して14年、米倉氏の後任として経団連会長に就任した榊原定征氏は官邸との関係の修復に務め、“安倍さんのポチ”と揶揄された。

 そして18年、経団連会長に就いた中西氏は、「物言う経済界」のリーダーとなることが期待されたが、今回、長期の不在となり、経団連は鳴りを潜めたままだ。今年の参院戦をみても、経団連の影響力はほとんどなかったといっていい。

 かつて「財界総理」と呼ばれた経団連会長は、「今や名誉職でしかない」といった辛辣な批評さえある。中西氏が復帰しても、逆に病気治療を専念するために経団連会長を辞任しても、誰も驚かないだろう。それほど経団連そのものの存在が軽いものになった。

年内での退陣も

 経団連、日中経済協会、日本商工会議所は、3団体合同の訪中代表団を毎年、秋に北京へ派遣している。昨年は9月10~12日、200人規模の訪問団となった。3団体のトップは当然行くことになっている。

 久保田事務総長が中西氏について、「入院中も政府の会議などの文書に目を通し、必要に応じて指示を出している」と言っていたが、財界関係者は「それができるなら、夏季セミナーには顔ぐらい出しただろう。表に出てこられないほど病状は深刻なのではないか」と懸念する。

 リンパ種と発表されたが、リンパの治療は抗がん剤が全身に回るため副作用が大きい。9月復帰が公表され、一時期よりは沈静化したが、日立製作所社内では株主総会にも出られなかったということで不安が広がった。中西氏は海外担当なので、新規プロジェクトは停滞したともいわれる。

 経済財政諮問会議に出られないので、経団連の意見を出せない。事務総長が代役では弱い。それでいて、「ここに人を出してくれ」など、政府からは頼まれごとばかり来る。経団連内の会議でも、副会長が意見を出して、それをまとめるのが会長の役目だ。会長がいなければまとまらない。

「榊原氏などの元会長、事務総長または審議員会議長の古賀氏が、『健康の回復に専念されてはどうか』などと進言するしかないのではないのか」といった意見も少数だがある、と伝わってくる。

「このまま経団連の会議に出てこられなければ、遅くとも12月には会長交代の話になるだろう」(経団連の元副会長)との見方が広がり始めたタイミングで、9月復帰が公表された。

 来年は東京五輪のために海外からの賓客が激増する。その接遇応対をしなければならないため、体調を崩していては、それも無理だろうとの見方は、依然として根強い。
(文=編集部)

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