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木下隆之「クルマ激辛定食」

シボレー「カマロSS」の“物騒な機能”…レーシングカー顔負けのハイスペック

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シボレー「カマロSS」
シボレー「カマロSS」

 シボレー「カマロSS」ほど、“ヤンチャ”なスポーツカーはないかもしれない。搭載するエンジンは6.2リッターもある、V型8気筒だ。最高出力は453ps/5700rpm、最大トルクは617Nm/2000~4800rpmに達する。エンジン形式名は「LT1」。つまり、シボレー伝統のOHV(オーバーヘッドバルブ)エンジンである。アイドリングからドロドロと猛獣が喉を鳴らすようなV型8気筒サウンドを響かせる。にわかに気分が高揚し、攻撃的な気持ちでスロットルを床踏みしたら、想像を上回る勢いで加速した。

 ただ、これはカマロSSが備えている獰猛な性格の序章でしかない。というのも、このカマロSSには「カスタムローンチコントロール」と「ラインロック」という物騒な機能が組み込まれているのだ。

「ローンチコントロール」とは、停止状態から一気に加速するための特殊装置のこと。スイッチで機能をオン。その状態で左足でブレーキペダルを、右足でアクセルペダルを踏む。それでもマシンはじっとその場に停止したまま動かない。そこでブレーキペダルに添えていた左足の力を緩める。すると、まるでレーシングカーのように鋭くスタートダッシュするのである。

「まるで競技マシンのようですよね」

 シボレー担当の関係者は、そう言って不敵な笑みを浮かべた。競技車ではなく公道を走るクルマにローンチコントロールが必要なのか否かの議論は、ここでは省略する。「カスタムローンチコントロール」は、その機能をさらに追い込んだものだ。ローンチ機能は、タイヤのトラクション機能により、空転するかしないかの、タイヤが“キュキュッ”と鳴くような「スリップ率15%」付近をさまよわせるようにアジャストされているのが一般的だが、タイヤのコンディションによっては、15%がベストではなく10%や20%の場合がある。そんな場合に備え、ドライバーが任意のスリップ率を選択できるようにしたのが「カスタムローンチコントロール」である。もはやレーシングカーのお株を奪う。

 しかも、「ラインロック」まで組み込まれているというから、開いた口が塞がらない。タイヤは適度に発熱させると発進グリップが高まる。それに着目し、フロントタイヤだけにブレーキをかけ、後輪をリリースさせることで、その場に立ち止まったまま、激しく白煙を上げながら後輪を空転させることができるのだ。先の「カスタムローンチコントロール」との相乗効果で、コンマ1秒レベルで加速タイムが短縮できるのである。そう、ここまでくると、完璧なレーシングカーの世界である。

 そこでハタと気付いた。公道を走るうえで、果たしてコンマ1秒を削り取るシチュエーションがあるのだろうか。激しくブラックマークを残して走ることが許される公道が、どこにあるのだろうかという疑問である。

 そんな無粋なことを指摘するのはやめよう。つまり、そんな機能がついていることがユーザーの琴線に響くというわけだろう。ヤンチャなカマロSSは健在――。V型8気筒サウンドが、そう叫んでいるように聞こえた。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員
「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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