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ヴィレッジヴァンガードが大量閉店していた…なぜ斬新性失われ「中途半端な店」化?

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

POS導入で好転

 このように異なるアイテムを組み合わせて陳列する手法を「クロス・マーチャンダイジング」と呼ぶ。消費者に新しい気づきを与えて買い物を楽しんでもらったり、ついで買いを促すことができる手法として知られている。ヴィレヴァンはクロス・マーチャンダイジングを武器に、消費者からの支持を獲得し、成長を果たしてきた。

 ヴィレヴァンは現会長の菊地敬一氏が、1986年に名古屋で書籍や雑貨を販売する店舗を開いたのが始まりだ。郊外ロードサイドを中心に出店を重ねたが、00年ごろから商業施設内への出店を加速。それまでのメインターゲットは20代を中心とした若者だったが、商業施設内の店舗が増えたことでファミリー層へマーケットが拡大した。

 商業施設内への出店が功を奏し、00年代は08年9月のリーマン・ショックまでは既存店売上高が好調に推移。01年3月から08年8月まで90カ月連続で前年を上回ったほどだ。だが、それ以降は苦戦するようになる。既存店売上高はマイナス傾向に転じてしまったのだ。

 そこでヴィレヴァンはさまざまな対策を試み、事態の打開を図った。なかでもPOS(販売時点情報管理)を取り入れた販売戦略への転換が功を奏した。

 従来は品ぞろえなどの権限を店長に大幅委譲し、店長の個性や判断を売り場に大きく反映させる販売戦略をとっていた。それにより独創的な売り場を構築することに成功した。ただ、店長の勘や経験に頼った販売には弊害もあった。

 大きな弊害となったのが「過剰在庫」だ。落ち込んだ売り上げを回復させようと在庫を極端に増やしてしまい、過剰在庫が生じるようになった。これにより、どの店舗も品ぞろえが似通ってしまい、店の個性が薄れてしまったのだ。

 そこでヴィレヴァンはPOSを導入。データに基づいた発注や品ぞろえを実現し、改善を試みた。これが功を奏し、適正な在庫量で魅力的な売り場を構築できるようになり、15年5月期は既存店売上高が好調に推移した。

 ヴィレヴァンはこれを機に反転攻勢に打って出たいところだった。しかし、これだけでは厳しい状況から脱することはできなかった。

 15年5月期ごろからは不採算店の大量閉鎖も断行した。この期を境に店舗数は減少傾向に転じる。14年5月末の店舗数は403店だったが、1年後の15年5月末には388店にまで減った。以降も減少が続く。

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