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ポスト五輪の東京~2020年以降も勝つまち、負けるまち~ポスト五輪を待ち受ける23区の勝ち目、弱り目

「東京五輪のために羽田空港ゲートウェイ化」のまやかし…時代に取り残される大田区

文=池田利道/東京23区研究所所長
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ハブ化できない羽田は巨大な「ローカル空港」

 インバウンド観光客が増えているのは紛れもない事実である。だとしたら、東京の国際線の主たる玄関口と位置づけられている成田空港でも、国際線の利用者が増えているのだろうか。図表2および図表3が端的に示すように、答えは「否」。成田空港の利用者数も増えてはいるが、それは格安航空会社(LCC)の誘致をはじめとした、国内線利用者が増加した結果である。「東京五輪のために羽田空港ゲートウェイ化」のまやかし…時代に取り残される大田区の画像3

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 長距離国際便が飛ぶには滑走路が最低3000m、大型機が燃料を満タンにして飛ぶには4000m必要で、世界の基幹空港は4000m級滑走路を複数持つのが標準とされる。成田空港は、この基準に合う滑走路が1本(A滑走路、4000m)しかない。ちなみに、羽田は3000m級を2本持つが、一番長いC滑走路でも3360m。そもそも、基幹国際空港たる条件を備えていない。

 インバウンド需要の増大にこたえていくには、成田の増強こそが本筋だろう。しかし、実際は「羽田をゲートウェイとする」という政治的判断に基づく羽田空港への国際線強化だけが進んでしまった。その背景には、世界的な潮流となったハブ空港化に、我が国が取り残されてしまったという焦りが存在していた。

 ハブ空港を一言で表現すれば、国際的な人流・物流の結節点を指す。人流でいえば、トランジット(乗り継ぎ)の利便性がその象徴。前述したように、基幹国際空港としては格落ちの感が否定できない成田空港の全利用客に対するトランジット客の割合は5.2%(2017年の『東京都統計年鑑』による、以下同)。これに対して、羽田空港はわずかに0.2%。国際線に限って見ても1.0%。なるほど羽田空港の規模は大きいが、その実態は国際的な航路ネットワークの末端にある「ローカル空港」の域を超えていない。

 ハブ空港の実力を示すもうひとつの指標である、貨物取扱量においてもまた然りだ。ACIのデータを見ると、空港貨物の取扱量(2017年)は成田の234万tがようやく世界の8位。羽田は138万tで成田の6割にも満たない。

ホテル不足は数の問題ではない

 ハブ化できないとはいっても、羽田空港の規模は巨大だ。その羽田空港は、大田区に何をもたらしているのだろうか。羽田を頻繁に利用している人のうち、蒲田に降り立ったことがある人はどれぐらいいるのだろうか。

 ホテルニーズの高まりは、羽田空港が大田区にもたらした数少ない影響といえる。図表4は、2018年4月時点での外国人宿泊者数とホテル客室数を比較した結果だ。国際線は深夜・早朝便が多いことから、大田区に宿泊したいと考える外国人観光客が多い一方で、ホテルの供給キャパが限られていることがわかるだろう。その結果として、区内のホテルは常に混雑状態にある。「東京五輪のために羽田空港ゲートウェイ化」のまやかし…時代に取り残される大田区の画像5

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