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やはり水と油…セブン&アイ、買収した“高級店”バーニーズをまったく生かせず累積赤字膨張

文=編集部
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ニューヨークにあるバーニーズのフラッグシップ・ストア(「Wikipedia」より)

 米高級衣料品店バーニーズ・ニューヨークは8月6日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻した。同社の破綻は1996年に続き2度目。ネット通販との競争や主要店舗の不動産賃料の高騰で経営が悪化した。

 アウトレット店を含めて米国で展開する全22店のうち15店を閉店する。ニューヨークのマンハッタンやロサンゼルス郊外のビバリーヒルズ、サンフランシスコにある旗艦店は営業を続ける。商品在庫などを担保に資金を貸す米ゴードン・ブラザーズ・グループとヒルコ・グローバルから計7500万ドル(約80億円)の追加融資を受け、当面の運転資金に充てる。

 バーニーズは1923年創業の老舗で、年間売上高は8億5000ドル(約9000億円)程度。2008年のリーマン・ショック以降、主力の高級衣料品の販売が低迷した。米アマゾン・ドット・コムに代表されるネット通販企業の台頭で店舗への集客力が鈍化。自社のネット戦略は出遅れた。

 バーニーズの経営破綻は、初めてではない。1996年にも多店舗展開に失敗し、連邦破産法11条の適用を申請して経営破綻した。このときは複数店舗を閉鎖・売却した。2004年、ジョーンズ・アパレル・グループが431億円で買収。その後、ドバイ政府所有の投資会社イスティスマール社に1015億円で売却された。

 このとき、イスティスマール社と競り合ったのが、日本のファーストリテイリングだった。ファーストリテイリングが参戦して価格はつり上がった。最終的にファストリは条件が合わず断念した経緯がある。12年に米投資ファンドのペリー・キャピタルが過半数の株式を取得して親会社になった。

バーニーズジャパンはセブン&アイが買収

 日本進出は1989年。伊勢丹と提携し、バーニーズジャパンが設立された。90年、新宿に1号店をオープン。96年に米バーニーズが1度目の経営破綻に陥った際に、バーニーズと伊勢丹の間で債務不履行やライセンス契約の解消をめぐり訴訟に発展。97年、ニューヨーク裁判所で伊勢丹が全面勝訴した。

 2006年、伊勢丹はバーニーズジャパンの株式を東京海上キャピタルファンドと住友商事に売却した。セブン&アイ・ホールディングスは14年11月に東京海上キャピタルから、15年2月に住友商事から、それぞれバーニーズジャパンの株式を取得し、完全子会社にした。

 セブン&アイは「そごう・西武」でプライベート商品を中心に自主開発商品の強化に取り組んできた。バーニーズジャパンが持つ商品開発力や売り場づくりのノウハウが必要だと判断し、買収した。バーニーズが持つ世界的なブランド力が魅力だった。

 セブン&アイがバーニーズジャパンを買収したのは、カリスマバイヤーと呼ばれた、故藤巻幸夫氏の人脈による、といわれている。藤巻氏は伊勢丹時代にバーニーズジャパンの設立に携わった。05年、セブン&アイ生活デザイン研究所社長に招かれ、09年までイトーヨーカ堂の顧問を務めた。12年にはファッション業界初の国会議員になったが、14年に急逝した。

 バーニーズジャパンは都内を中心に12店舗を展開している。米バーニーズと資本関係はないため、日本の店舗は営業を続けるという。

 バーニーズジャパンの決算公告によると、19年2月期の売上高は208億円(前期比2.2%減)、営業利益は6000万円の赤字(前期は1.5億円の黒字)、最終損益は10.2億円の赤字(同8000万円の黒字)。累積赤字は23.7億円に上る。

 バーニーズジャパンが、そごう・西武の業績に寄与しているとはいいがたい状況だ。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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