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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

10月の消費増税による貧困世帯の栄養悪化という「健康問題」が見過ごされている

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
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 困窮している人は、多少体調が悪かったとしても、それを自身で回復していくための時間も取れず、医療機関で受診することもできないでしょう。そんな余裕はない、というのが正直な意見だと思います。そして、そのまま時間が経過してしまうと、取り返しがつかないところにまで追い込まれることになります。

 正しい食事を摂れさえすれば回避できる健康問題は、たくさんあります。むしろ、ほとんどの健康問題は、正しい食事で解決できるのです。しかし、経済的理由によって正しい食事すらできないというのは、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が奪われている、ということにならないでしょうか。「個人として尊重」されているといえるのでしょうか。筆者はいえないと断じます。

 主婦の皆さまはアンケートに答えるかたちで、仕事をする理由の第一は「家計の足しにするため」だと言っています。自分の能力を社会に生かすことでもなければ、仕事をすることによって得られる特別な満足感でもなく、社会とつながっていることの充実感でもないのです。

 そしていよいよ、10月から消費税率が上がります。筆者が憂えているのは、そのことでますます家計が苦しくなり、主婦の皆さまは、少しでも家計の足しになるようにと働きに出ることになるでしょう。それが、その人が本来持っている技術や才能を生かすための仕事であるならば万々歳ですが、そうではなく、単に自分の時間を切り売りすることになりやしないか、ということです。

 男女問わず日本人が食事の準備に費やす時間は、ますます短くなり、それが国民全体の健康に大きく悪影響を与えるであろうことを筆者は懸念しています。消費税の本来の目的は、社会保障に当てる財源の安定的確保ということであり、今回の消費税率引上げによる増収分を含む消費税収は、すべて社会保障財源に充てるとされていますが、それ以前の問題として、まともな食品を買うことができる、食べることができる仕組みをつくるべきなのではないかと思っています。

 最後にひとつだけ警告を発しておきます。コンビニ弁当やファストフードは、買う時点では安い買い物ですが、トータルに人生を考えた時、それは決して安い買い物ではない、ということを皆さまの心に留め置いてください。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

●南清貴(みなみ・きよたか) フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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