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木村貴「陰謀論のリアル」

日本に実在する「上級国民」という階層…メディアも触れない理由

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「gettyimages」より

上級国民」という言葉が一躍注目されている。4月に東京・池袋で死者2人、負傷者8人を出した自動車暴走事故で、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)が現行犯逮捕されず、報道で「容疑者」ではなく「さん」「元院長」などの呼称が使われたのは、元官僚という「上級国民」だからだ、という憶測が広がった。

 逮捕されないことや報道上の呼称については、それぞれしかるべき理由があるとして、憶測は否定されているようだ。けれどもこの出来事をきっかけに、一般国民にはない特権を持つ人々(上級国民)の存在がクローズアップされたのは、社会の仕組みを正しく知るために有意義だったといえる。

 ネット上の議論を見ていると、上級国民とは根拠のない陰謀論の産物で、現実には存在しないと主張する向きもある。これは明らかに言い過ぎだ。上級国民という呼び名はともかく、国民が一部の特権階級とそれ以外の一般人に分かれることは、あとで詳しく述べるように、古くから学問的にも指摘されてきた事実だからだ。

 その意味で、上級国民は本当に存在する。議論を深めるうえで重要なのは、何を基準に上級国民と一般国民を区別するかである。言い換えれば、上級国民の正しい定義とは何かである。

 現在、その定義はあいまいだ。ネットの「ニコニコ大百科」では、2015年の東京五輪エンブレム騒動を発端に、権威を振りかざす専門家を皮肉る意味合いで上級国民という言葉が広まった経緯を紹介し、最近では「政治家や役人、資産家などを批判的な意味合いにて指し示すようにも用いられる」と解説するものの、はっきりした定義は述べていない。

 ベストセラー作家の橘玲氏が最近出版した『上級国民/下級国民』(小学館新書)は、そのものずばりのタイトルだが、期待外れなことに、上級国民の明確な定義はやはりない。「じゅうぶんな富のある一部の男性」を上級国民と呼ぶ箇所はあるが、あまりに漠然としている。これなら上級国民などという新奇な言葉を使わず、単に「富裕層」と呼べば済むことだ。

階級論

 学問の世界では、経済において共通の地位を占める人々の集団を「階級」と呼び、階級に関する研究を階級論という。階級論で一番知られているのは、ドイツの共産主義思想家、カール・マルクスによるものだ。資本主義社会は、機械や土地などの生産手段を所有する支配階級である「ブルジョワジー」と、所有しない被支配階級である「プロレタリアート」に分かれ、両者の間には不断の争い(階級闘争)が繰り広げられると説いた。盟友フリードリヒ・エンゲルスとの共著『共産党宣言』で述べた、「これまでのすべての社会の歴史は階級闘争の歴史である」という言葉は有名だ。

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