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高杉康成「コンセプト・シナジーな経営戦略」

リクナビ問題、AI時代の恐ろしさを象徴…個人データを勝手にスコアリングされ不利益

文=高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士
リクナビ問題、AI時代の恐ろしさを象徴…個人データを勝手にスコアリングされ不利益の画像1
「リクナビ HP」より

 リクルートキャリアが運営する就職情報サイトの「リクナビ」がビジネスとして行った「内定辞退予測」の問題がクローズアップされています。就職を希望する学生に企業が内定を出す際、内定を辞退する可能性を予測してくれるサービスが、使い方によっては学生に不利益を与え、かつ、学生の個人情報を無断で使用したという個人情報保護法の観点から問題となっています。

 ニュースや新聞、ネットメディアなどでたびたび取り上げられるため、国民の関心も高いと思います。実は、この問題、就職を希望する学生だけの問題ではなく、国民全体にも近い将来起こりうる深刻な問題なのです。なぜなら、この問題の本質は、ビジネスにおけるマーケティングの問題だからです。

 マーケティング分析のなかで、顧客をなんらかの基準で分類(S:セグメンテーション)し、標的化(T:ターゲティング)して、位置づけ(P:ポジショニング)することは基本中の基本で、有名な経営学者フィリップ・コトラーがSTP理論でも提唱しています。

 このSTPを考える上で、さらにイメージを膨らませるために行う分析として、「ペルソナ」という手法があります。これは、ターゲットとする顧客のイメージを、単なる性別、年齢、所得といった属性による分類で行うだけではなく、その人の行動特性をもイメージしていく手法です。例えば、コンビニエンスストア向けの商品開発を考える際、「ターゲットは30―40代のサラリーマンで、毎日来店する人」というセグメンテーションは前者の分類となります。

 ところが、これだけだと顧客のイメージがつけにくいため、

「35歳のサラリーマンのAさんは毎朝、〇〇駅で下車後、近くのコンビニX店を利用する。ジョギングが趣味であり、マラソン大会にも数多く参加し、最近はタイムを気にし始めている。そのため、日々のカロリー摂取にも気を使うようになり、昼食はおにぎり1個と野菜サラダと決めている」

 というように、ペルソナ手法では、ターゲットをよりイメージしやすいようにするのです。そして、これを用いて消費者の行動を予測し、商品開発に活かしていくのです。

 このペルソナ手法を進化させ、ウェブサイトの閲覧履歴や購買履歴等の行動データ(ビッグデータ)をAI(人工知能)やコンピュータが分析し、その人の行動などを自動で予測することを「プロファイリング」といいます。

高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

経営学修士、中小企業診断士、岡山県立大学地域創造戦略センター客員教授
神戸大学大学院 経営学研究科 博士後期課程中退(経営学修士、MBA)。日本屈指の高収益企業、キーエンスの新商品・新規事業企画担当を歴任。退職後、新規事業や新製品開発、ビジネスの付加価値向上などの分野において、大企業から、中小企業まで幅広い業種・企業の指導に携わる。一般消費者向けの小売店、ネット販売企業などにおいても、ビジネスモデルの転換、収益力向上、新製品開発などで数多くの実績がある。
最近では、次世代自動車(CASE)、次世代通信、ロボット、AI、IoT、VR・AR、農業クラウドサービスなど、さまざまな最先端・成長業界における新規参入の支援を、上場企業をはじめ全国の企業に行っている。こういった企業への指導実績から、テクノロジーについても非常に詳しく、最先端分野の知見を有している。専門分野は、ブルーオーシャン戦略、事業戦略、技術経営(MOT)、Webマーケティング。
コンセプトエナジー株式会社

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