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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

AIにタピオカ“再”ブームの予測は不可能…AI標準時代に「消えない仕事」「消える仕事」

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
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“何をすればいいのか”は人間にしか考えられない

 AIの活用法として、就職情報サイト「リクナビ」が就職活動中の学生の内定辞退率をAIで予測し、その情報を企業に販売していたことがわかり問題になったが、これもAIによって人の行動が事前に予測できる時代が接近したことを表すいい例だ。

 ただしこのケースは、個人情報の2次利用に関する同意形成が不十分で、労働者雇用にかかわる情報を取引してしまったために批判を浴びた。しかし、すでに消費者の商品・サービスの選択行動予測は多様なかたちで行われており、AI自体に罪はない。

 他方、気になるのは「進化したAIが仕事を奪う」という側面。

「市場調査でのリサーチャーの着眼点や商品開発でのプランナーのアイデアといったように、現状では人間の勘と経験がAIを上回ることもあります。しかし、日々精度を上げていくAIが分析した市場動向に専門家の勘と経験が追いつかれてしまい、やがて凌駕されてしまうのも時間の問題かもしれません。ですが、“どのようにすればいいのか”はビッグデータとAIが予測できても、“何をすればいいのか”は人間が主観的に決めるクリエイティブな仕事として残り続けるでしょう。

 消費者が楽しいと思うことは国・地域、世代や時代によって千差万別に変化し続けますし、流行するもののきっかけは突発的な偶然に左右されることの方が圧倒的に多いと思われます。例をあげると、タピオカの再ブームなどはビッグデータやAIでは予測できなかったのではないでしょうか」(同)

 社会のあらゆる分野で合理化が進められているが、創造的に考えて発信していくことは人間にしかできない領域、というのが有馬氏の意見だ。

「AIの活用に必要な機械学習やディープラーニングを学ぶ人も増えてきています。00年前後にインターネットが普及し始めてWEBデザイナーなどの雇用が創出されたように、AIの一般化によって新たな雇用が生みだされる可能性も非常に高いと思います。ホワイトカラー業務を含めたルーチンワークはAIに取って代わられてしまうことも考えられますが、これから社会に出て働こうとする人も、すでに働いている人も、創造的思考法を鍛えておいて損はないと思います」(同)

 AIの進化がマーケティングの可能性を広げるのは間違いないが、だからといって人間が不要になるわけではない。人間とAIが共存する社会を形成するためには、人間自体にも努力が求められていると考えるべきであろう。

(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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