ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 日産、西川社長解任は当然
NEW
山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

日産、西川社長解任は当然…不正に報酬水増しの一方、社員1万人削減&利益99%減

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント
日産、西川社長解任は当然…不正に報酬水増しの一方、社員1万人削減&利益99%減の画像1
日産、19年4-6月期連結決算発表 人員削減も公表(写真:つのだよしお/アフロ)

 日産自動車西川廣人社長兼CEO(最高経営責任者)の突然の辞任は、本人の本意ではなかった。詰め腹を切らされたかたちに至った直接の原因は、自らの報酬のかさ上げ問題だったが、西川氏への社内外からの批判は根強かった。

 西川氏の挫折は、何よりカリスマだったカルロス・ゴーン前会長を放逐した後に、自らが十分な経営実績を残せなかったことにある。思わぬかたちで経営トップのバトンを受け取ってしまった側近型経営者は、過渡期に放り込まれた大企業の舵取りを取れなかった。では、その後任にどんな人材が登場するのか。日産の悩みと苦悩はまだ続くだろう。

とどめを刺したのが報酬かさ上げ問題

日産、西川社長解任は当然…不正に報酬水増しの一方、社員1万人削減&利益99%減の画像2
『残念な経営者 誇れる経営者』(山田修/ぱる出版)

 日産は9月9日に記者会見を開き、西川社長の退任を発表した。9月16日付での辞任という形式になるが、9日の同社取締役会が西川氏にそれを要請した。実質的には日産経営陣の総意による更迭である。

 前会長だったゴーン氏が金融商品取引法違反で逮捕されたのが2018年11月。西川氏はすでに17年4月から代表取締役社長兼CEOに就いていたが、実質的な立場としてはCOO(最高執行責任者)であり、ゴーン氏が真の経営トップとして君臨していた。

 ゴーン氏の突然の逮捕劇で西川氏が急遽、経営トップの立場に立たされたわけだが、「思いがけず」という表現は当たらない。というのは、ゴーン氏を告発、放逐するのに大きな役割を果たしていたからである。

 ところが、西川氏のCEOとしての立場はわずか2年半で終息することになった。今回、西川氏を退任に追い込んだのが、9月4日の監査委員会で報告されたゴーン氏らの問題に関する内部報告書とされる。西川氏自身も自らの報酬を不適切な手法でかさ上げした問題が指摘された。

 これは、グレゴリー・ケリー前代表取締役が6月発売の月刊誌「文藝春秋」(文藝春秋)で告発していた。ケリー氏はゴーン氏とともに逮捕・起訴された人物である。ケリー氏としては自らを告発した西川氏に対して“You,too”という恨み節の暴露をぶつけたわけである。検察は西川氏を「嫌疑不十分」として不起訴としたが、都内在住の男性がその決定に対して検察審査会に不服の申立を行うなど、西川氏に対する批判も根強かった。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
山田修の戦略ブログ

日産、西川社長解任は当然…不正に報酬水増しの一方、社員1万人削減&利益99%減のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!