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フォーエバー21、閉店ラッシュは当然…デザイン&品質の“レベルの低さ”という根本的問題

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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日本ではユニクロ、ジーユーが好調

 もっとも、苦戦を強いられたのはフォーエバー21だけではない。日本から撤退に追い込まれたファストファッションはほかにもある。米国発のギャップの姉妹ブランド、Old Navy(オールドネイビー)もそうだ。オールドネイビーはギャップよりも低価格で、1万円もあれば全身コーディネートできるとして一時、人気を博した。

 オールドネイビーは12年に日本1号店をオープン。イオンモールなどショッピングセンターを中心に出店を重ね、53店にまで拡大したが、わずか4年で撤退に追い込まれた。ほかのファストファッションとの違いが打ち出せず、埋没したままで終わった。

 ギャップも厳しい状況にある。今年5月に旗艦店の原宿店が閉店したことが話題になった。ほかに、4月にイオンモール旭川西店(北海道旭川市)、5月にサンシャインシティアル パ店(東京・豊島)、京都河原町店(京都市)、8月に京都高島屋店(同)が閉店した。店舗閉鎖が相次いでいる状況だ。

 ギャップはアウトレット店などを含めて全国に現在約150店を展開するが、プロパー店(約100店)では閉店が相次ぎ、より低価格のアウトレット店への依存を強めている。また、ギャップの プロパー店では「50%オフ」といったセールを頻繁に行っており、セールを行わないと売れない状況に陥っている。価格の高さが敬遠されていることがわかる。

 ギャップは世界的に苦戦している。18年度の世界ギャップブランドの既存店売上高は前年度比5%減。日本と同様に安売りしないと売れず、販売不振に歯止めがかからない。最大市場となる北米では、不採算店の大量閉店を進めている状況だ。

 日本ではユニクロが勢力を誇り、姉妹ブランドのGU(ジーユー)が急速に存在感を高めている。ユニクロの店舗数は長らく横ばいが続いているが、それでも800店超を展開し、存在感は抜群だ。ベーシックなアイテムが多く、老若男女、幅広い層から支持を獲得している。18年9月~19 年7月累計の既存店売上高は前年同期比0.5%増とプラスだ。

 ジーユーはユニクロよりも安く、ベーシックなものからトレンドを取り入れたものまで幅広い。若者を中心に人気を博している。06年に1号店を出店し、今年5月末時点で422店を展開する。

 こうした状況から、日本のファストファッションは日本勢に分があることがわかる。日本の企業だけに、日本人の好みをよくわかっていることが大きいだろう。また、ユニクロとジーユーは、服の丈夫さなど品質にも定評がある。

 一方、フォーエバー21はデザインのほか、品質にも課題がある。生地の丈夫さや縫製の精緻さなどにおいて、レベルの低さを指摘する声が少なくない。デザインと品質において抜本的な対策を講じることができなければ、顧客離れは加速し、日本撤退は免れないだろう。いずれにせよ、破産検討の行方と日本市場の動向を注視していきたい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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