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ポスト五輪の東京~2020年以降も勝つまち、負けるまち~ポスト五輪を待ち受ける23区の勝ち目、弱り目

東京、団地の街の逆転劇…足立・葛飾・江戸川区が再開発ラッシュでタワマン乱立

文=池田利道/東京23区研究所所長

 建物がよみがえり間取りや機能が改善されると、今はそっぽを向いている若い人たちも魅力を感じるようになる。URの賃貸団地では、建物の形態や外観を思い切って今風に変える取り組みも多い。

 それだけではない。古い団地を高層に建て替えると土地が余る。あるいは、高度経済成長期に建てられた団地を時代のニーズに応じて縮小再編すると、やはり土地が余ってくる。これらの土地は、まちを再生させる格好のタネ地となる。事実、足立区の花畑団地では大学の誘致やショッピングセンターの整備が、同じ足立区の上沼田団地では大学病院の誘致が、団地の建て替えと一体となって実現している。団地のまちならではの逆転劇と言えるだろう。

安心して子どもが産めるまち

 ソフトの面ではどうだろうか。過去、2013年まで一貫して23区でもっとも出生率が高かったのは江戸川区。2位と3位は年によって若干の入れ替わりがあるものの、顔ぶれは常に足立区と葛飾区。その後、都心の躍進と後述する東部3区でのファミリー層の減少の結果、17年には江戸川区が4位、葛飾区は6位、足立区は8位にまでランクを下げているが、20代以下の若いお母さんの多さは、東部3区が今もトップを独占する。

 女性の平均結婚(初婚)年齢は23区平均を0.4~0.7歳下回る程度で、取り立てて若いわけではない。それなのに、なぜ図表2に示したような大きな差が生まれるのか。答えのカギは定住率の高さにあると考えられる。東京、団地の街の逆転劇…足立・葛飾・江戸川区が再開発ラッシュでタワマン乱立の画像3

 今日、定住率が高いことは必ずしもメリットだけではないと、さまざまな機会を通じて筆者は繰り返し指摘してきた。もちろんメリットもある。若いお母さんが多いことは、その象徴的な例のひとつと言えるだろう。

 15年の『国勢調査』による定住率(今住んでいるところに20年以上、20歳未満は生まれてからずっと住んでいる人の割合)が23区で一番高いのは足立区、2位が葛飾区。23区の中では開発が遅れた江戸川区は、15年くらい前まで新住民の転入が多かったため、上記の定義に照らした定住率は低くなるが、それでも7位。20代・30代の若い世代に限ると、足立、葛飾、江戸川の3区がトップ3に顔を揃える。

 若い世代の定住率が高いということは、親と同居している人が多いこと、同居していないにしても、親の近くに住んでいる人が多いことを指す。さらに、近所に子どもの頃からの顔なじみが多く、同級生など同世代間の横のつながりも強い。こうした人たちがサポーターネットワークとなって、若くても安心して子どもが産める環境をつくり出しているのではないだろうか。

池田利道/東京23区研究所所長

池田利道/東京23区研究所所長

東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。
一般社団法人 東京23区研究所

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