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小笠原泰「日本は大丈夫か?」

日産、“死に体”に…ルノー&経産省のダブル支配で経営機能不全

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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今後の経産省のシナリオ

 後任CEO候補として、早くも専務執行役員の内田誠氏と関潤氏が浮上している。9月12日付ロイター記事は、次のように報じている。

「内田氏は、アライアンスの購買担当の経歴も持ち、ルノーや、日産の取締役会のルノー寄りのメンバーから支持されている。一方、関氏は、日産寄りのメンバーの支持を受けている」

 人選次第で日産の独立が脅かされるという指摘も出ているが、経産省が後ろで糸を引く限り、ルノー寄りの人選はないだろう。実績よりも経産省と二人三脚ができる人物が選ばれると予想される。

 しかし、日産は日本市場に依存しないグローバルなオペレーションを展開しており、2019年1~6月の生産・販売累計 (速報)をみると、全世界における販売台数のうち国内が占める割合はわずか12%であり、経産省が手出しできる範囲はわずかだ。世界市場で競争していくのであれば、グローバルなビジネスの経験の乏しい日本人に経営は担えない。しかし、日産で西川氏の後任に外国人が選ばれる可能性は低い。それが、日本企業のグローバル化の現状である。

 誰が後任に選ばれても、経産省の関与がある限り、ルノーとの話し合いも行き詰まり、一度は立ち消えになったルノーとFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の統合話も再燃してくるなかで、日産のマネジメントと業績回復はより難しくなりつつある。

 こうした状況下において、経産省は「中身はどうでも良いので形だけ」でも日の丸企業であることを維持する、という行動に出るのではないか。たとえば、増資などで日産の株を間接的にでも日本政府が保持し、日の丸企業であるという体面を維持しようとするのではないか。

 ちなみに、西川社長の辞任を受けて、世耕弘成経産相(当時)が「コーポレートガバナンスがしっかり機能した証左」とコメントしたが、税金を大量投入して大損しても、原発事故が起こっても、誰一人として官僚は責任を取らない経産省にこそガバナンスが必要である。

(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)

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