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潜在待機児童「過去最多」をひた隠す厚労省の罪…意外に待機児童率が高い自治体リスト

文=山田稔/ジャーナリスト
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待機児童数100人以上で待機児童率の高い自治体の共通点

 注目したいデータがある。「待機児童数が100人以上で待機児童率の高い市区町村」だ。上位5市町村は次の通り。

※待機児童数、待機児童率
・沖縄県南風原(はえばる)町 208人、9.92%
・福岡県福津市 124人、7.97%
・沖縄県南城(なんじょう)市 145人、7.24%
・福岡県筑紫野市 133人、5.86%
・福岡県大野城市 143人、5.83%

 沖縄県と福岡県の自治体が上位5位を占める結果となった。この5市町はいずれも人口増加自治体である。住民基本台帳に基づく人口(2019年1月1日現在=日本人人口)だと、福津市(人口6万346人)は前年比で1615人も増えている。3年連続の増加で社会増は全国3位だ。福岡市、北九州市の中間にある同市は、大型商業施設の誘致で生活の利便性が向上し、大規模開発による住宅地の拡大などで子育て世代の流入が増え、人口が増え続けている。

 1位の南風原町は那覇市に隣接している自治体で土地区画整理事業が進み、戸建て、マンション、アパートなどが次々に建設された。2017年1月からは中学3年までの子どもの医療費の窓口支払いの無償化が実施されている。人口は3万9172人で前年比731人増だ。

 いずれも急激な人口増に自治体側が保育需要をつかみきれず、待機児童が増える結果となっているようだ。

 待機児童数がゼロという県は6県ある。青森県、富山県、石川県、山梨県、鳥取県、島根県だ。共通しているのはいずれも人口減少県であること。さらに年少人口(15歳未満)の比率が全国平均(12.37%)を下回っている県が3県(青森、富山、山梨)ある。もともと子ども人口が少ない県なのだ。待機児童数ゼロの裏側に人口減や年少人口の少なさという、より大きな問題を抱えているわけだ。

 人口の減少が深刻化するなか、将来を担う子どもたちの生育に大きな影響を及ぼす待機児童問題は、国にとっても自治体にとっても切実で重要な問題だ。目先の対策だけで終わるのではなく、一極集中、地方活性化、保育士待遇問題など、総合的な国づくり、まちづくりの施策のなかで対処していくテーマなのである。

 予算配分のあり方も含めた抜本的な見直しが必要ではないだろうか。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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