小林敦志「自動車大激変!」

日産ノート、ついにトヨタ・プリウスに首位奪取される…西川社長の不正報酬問題も販売に悪影響か

日産の「ノート e-POWER X」(「日産:ノート [ NOTE ] 電気自動車 (e-POWER) Webカタログ トップ」より)

 9月といえば、今年に限れば消費税率引き上げ直前月というほうが印象は強いが、一方では事業年度締めでの上半期末となり、新車販売の世界では半期決算セールとして活発な販売競争が展開される。もちろん、それは今年も変わることはない。

 ここに記したグラフは、自販連(日本自動車販売協会連合会)統計をもとに、登録車で激しい販売トップ争いを展開しているトヨタ自動車「プリウス」と日産自動車ノート」の2019年1月から8月までの各単月の販売台数を表したものだ。1月から3月まではノートが登録車販売トップとなっていたが、4月、つまり2019年度に入ってからはプリウスのほうが多くなっている。

 8月こそトップの座をトヨタ「シエンタ」に譲ったものの、4月から7月はプリウスがトップとなっていた。8月のシエンタトップは、シエンタが近々に改良を控えているとのことなので、現行モデル最後のまとまった登録が入ったと考えられる。そのため、シエンタのトップは一時的なものとなりそうだ。

 プリウスの2019年1月から8月までの累計販売台数は9万1590台、一方のノートは8万7296台となっており、その差は4294台となっている。4月以降はノートが懸命にプリウスを追い抜こうとしたが、結局抜けなかったことが統計数字からも伝わってくる。ノートはディーラーなどでの自社登録、レンタカーやカーシェアリングなどのフリート販売に積極的な動きを見せているが、それでもプリウスを抜けない。その背景には、個人ユーザーへの販売の息切れが目立ってきたことが大きく影響しているようだ。

 自社登録については、ナンバープレートのついていない未使用の在庫車を登録することになる。自社登録された車両は登録済み未使用中古車として、中古車市場に多く出回っている。そのため、「お隣さんが新車のノートを買ったみたいよ」と奥さんが話すと、「いいや、あれは中古車だってよ」と旦那さんが返すといった会話も珍しくないようだ。

プリウス有利の理由と不安要素

 トヨタのウェブサイトでは、プリウスの納期目処は2カ月となっていた。以前の即納可能な仕様もあったときに比べれば、マイナーチェンジ以降は人気が持続しているようなので、このまま2019事業年度締め登録車販売トップはプリウスで決まりそうにも見えるが、そう簡単にいくかどうか、不安要素もないわけではない。

 プリウスは納車まで2カ月かかるので、9月の半期決算期間に活発な販売促進活動を行っても、もはや半期決算セール期間中の実績としてはカウントすることができない。一方のノートはディーラー在庫も多めとなっているので、9月に入ってからも積極的な受注活動を行えば、そのまま半期決算セールの実績としてカウントすることが可能なのである。

 つまり、プリウスは増産するなりしてバックオーダーからより多く半期決算中に納車するぐらいしかダメ押しの上乗せはできないが、ノートは在庫車があるので自社登録でもフリート販売でも、いくらでもというのは大げさかもしれないが、販売実績の上積みをすることが可能なのである。

小林敦志/フリー編集記者

1967年北海道生まれ。新車ディーラーのセールスマンを社会人スタートとし、その後新車購入情報誌編集長などを経て2011年よりフリーとなる。

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