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無借金&最高益のファンケルが、キリンに身売りせざるを得なかった“特殊事情”

文=編集部

キリンHDの株価が急落

 キリンHDは今年2月に発表した2021年までの中期経営計画で「医と食をつなぐ事業」を育成する方針を示し、新規事業の立ち上げや企業のM&A(合併・買収)に3000億円を投じる考えを明らかにしていた。

 医と食をつなぐ事業として、プラズマ乳酸菌を使った機能性飲料の販売に取り組んできた。その領域に当てはまるのが、ファンケルのサプリメント事業だ。ファンケルの無添加サプリは通販の人気商品だ。

 しかし、株式市場の反応は厳しかった。ファンケルとの提携を発表した翌8月7日のキリンHDの株価は一時、前日比7%安の2217円まで下落。その後も下落が続き、8月26日には2033円の年初来安値をつけた。年初来高値(2月6日の2729円)から26%下落した。「ファンケルに過半の出資をして、製品の共同開発などの相乗効果を狙わないと投資家は納得しない。30%出資というのは中途半端だ」(食品業界担当のアナリスト)と、評価は厳しい。

 ファンケルの8月7日の株価も、前日比3%高の2494円にとどまった。その後、2600円台まで戻す場面があったが、年初来高値(4月26日、3330円)には届かない。市場はキリンHDとの提携効果を評価しかねている。

 市場関係者は、ファンケルの買い手の本命は外資と予測していた。今年1月、通販主体の化粧品ブランド「ドクターシーラボ」を手掛けるシーズ・ホールディングスを米ジョンソン・エンド・ジョンソンが総額2300億円で買収した。

 ファンケルの買収先としては、化粧品世界大手の仏ロレアルの名前が取り沙汰されていた。ファンケルが栄養補助食品を共同で手掛けるネスレ日本も有力候補とみられていた。

 ファンケルの経営のかじ取りは島田和幸社長が担っている。市場が抱く不透明感を一掃するには、早期に具体的な成果を上げるしかない。

 一方、キリンHDに関して食品業界の首脳は「海外企業のM&Aよりファンケルへの出資のほうが確実性は高い。サプリメントは大きくは伸びないが、高齢化社会が進んでおり、大きく落ち込むことはないだろう」と見ている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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