ビジネスジャーナル > ライフニュース > 市販の風邪薬、麻薬性成分を含有
NEW
小谷寿美子「薬に殺されないために」

市販の風邪薬、麻薬性成分を含有…使用していない薬品リスト

文=小谷寿美子/薬剤師
市販の風邪薬、麻薬性成分を含有…使用していない薬品リストの画像1
「Getty Images」より

多くの市販薬で使われ続けてきた麻薬性成分

 あまり信じたくない事実かもしれませんが、市販薬の知識がゼロに等しい薬剤師がいます。そんな薬剤師と一緒に働いていた時、こんなやりとりが行われました。

「さっき患者さんから相談を受けて、市販の風邪薬見てたんだけど、めっちゃ『リンコデ』(コデインリン酸塩の略称)入ってるじゃん! 大丈夫なの?」

「市販の場合は、使っていい薬リストの中から選んで使うからねえ」

「医療用ではほとんど処方ないよね?」

「そうなんだよね」

「だって危なくない? こんな簡単に飲む薬じゃないじゃん!」

「まあね」

「普通さ、咳と言ったら『メジコン』(デキストロメトルファン臭化水素酸塩の商品名)使うじゃん。いきなり市販でリンコデ使って、治らないからといって病院行って『メジコン』が処方されたら効かないじゃん!」

「市販薬は市販のルールでやってるからねぇ」

 かなりその薬剤師に食い下がられたのですが、言っていることはいたって筋は通っていました。だから、そのことについて言い返せなかったのです。

 ここで薬の名前が出てきたので解説しておきます。「リンコデ」こと「コデインリン酸塩」は、「麻薬性」の咳止めです。そうなんです。あの「麻薬」です。ケシから取れる液には、このコデイン以外にも「モルヒネ」や「パパベリン」「ノスカピン」といった成分が含まれています。このケシのしぼり液には鎮痛、鎮静、咳止めといった効果があるとわかっています。現代科学の力でそれらが化学合成できるようになり、それぞれの成分の薬効が明らかになってきました。そのうちの「コデイン」は咳止め効果が高く、鎮痛・鎮静効果が弱くなっているため咳止めとして多くの市販薬に含まれています。リン酸塩にすることで、錠剤として安定的に扱えるようになっています。

「メジコン」こと「デキストロメトルファン臭化水素酸塩」は、コデインの副作用を抑えるために開発された「非麻薬性」の咳止めです。咳を止める以外の鎮痛・鎮静作用などは、不要な効果となります。それ以外にも呼吸抑制や便秘といった副作用があります。

 デキストロメトルファンは、そうした副作用が出ないように改良された成分ですから、処方する医師とすればこちらのほうが使いやすいわけです。処方される咳止めは「メジコン」が主流となり、「リンコデ」を使うのは、症状がひどい時に限られています。そうした実態を知っている前出の薬剤師は、市販薬として「リンコデ」が大量に出回っていることに疑問を感じていたのです。

小谷寿美子/薬剤師、NRサプリメントアドバイザー

小谷寿美子/薬剤師、NRサプリメントアドバイザー

薬剤師。NRサプリメントアドバイザー。薬局界のセカンドオピニオン。明治薬科大学を505人いる学生のなか5位で卒業。薬剤師国家試験を240点中224点という高得点で合格した。
市販薬も調剤も取り扱う、地域密着型の薬局チェーンに入社。社歴は10年以上。
入社1年目にして、市販薬販売コンクールで1位。管理薬剤師として配属された店舗では半年で売り上げを2倍に上げた実績がある。

市販薬、調剤のみならずサプリメントにも詳しい。薬やサプリメントの効かない飲み方、あぶない自己判断に日々、心を痛め、正しい薬の飲み方、飲み合わせを啓蒙中。

Twitter:@kotanisumiko

市販の風邪薬、麻薬性成分を含有…使用していない薬品リストのページです。ビジネスジャーナルは、ライフ、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!