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桶谷 功「インサイト思考 ~人の気持ちをひもとくマーケティング」

日産ノートe-POWER、なぜ1位に?「ハイブリッド」と言わず「革新的なEV」浸透に成功

文=桶谷功/株式会社インサイト代表取締役

同じ技術でも、生かすも殺すも、打ち出し方しだい

 e-POWERのケースでもわかるように、同じ技術でも、人がどう受け止めるか、人がそこにメリットを感じるかどうか、という視点で打ち出し方を考える必要があります。同じ技術であっても、もしハイブリッドと打ち出していたら、人々はどういう印象をもつだろうか、と想像してみる。「電気自動車の新しいカタチ」と位置づけることで、「先進的なイメージ」を生み出し、日産の企業イメージと結びつけ、「電気自動車の走行距離の短さへの人々の不安」を解消し、さらには「電気自動車ならではのドライビングフィール体験」を提供することにも成功した。

 このように、ある技術が生まれたとき、その技術からどのようなシナリオが描けるか、それは人々にとってどういう意味があるのかを考える。それが、商品をヒットさせイノベーションを起こすためには不可欠なのです。

 開発者がいくら画期的な技術だと思っても、人々に影響を与えず受け入れられなければ、そこからイノベーションは起きません。逆に、開発者の間では革新的ではない既存技術であっても、人々の生活を変えるような、人々にとって意味のある打ち出し方ができれば、それはイノベーションになりえます。

 人々がどんな不安や不満を持ち、どんな打ち出し方をすれば、人々はどう感じるのか、それを読み解くのが、「インサイト」と呼んでいる考え方です。

 技術が、生きるも死ぬも、いかにインサイトを捉えられるかにかかっているのです。

(文=桶谷功/株式会社インサイト代表取締役)

桶谷功/株式会社インサイト代表取締役

桶谷功/株式会社インサイト代表取締役

大日本印刷(株)を経て、世界最大級の広告代理店 J.ウォルター・トンプソン・ジャパン(株)戦略プランニング局 執行役員。ハーゲンダッツのブランド育成などに貢献。2005年、著書「インサイト」(ダイヤモンド社)で日本に初めてインサイトの考え方を体系的に紹介。2010年に独立し、(株)インサイト設立。マーケティング全般のコンサルティングを行う。コンサルティング実績は、食品・飲料・日用品・クルマ・医薬品・百貨店・ファッションEC・C2C・テック系サービスと多岐にわたる。インド・中国などでのインサイト探索・戦略開発や、イノベーション開発、独自メソッドの導入・教育も行う。他の著作に「インサイト実践トレーニング」「戦略インサイト」(ともにダイヤモンド社)など。企業・協会等での講演やセミナー多数。日本広告学会会員。グロービス経営大学院MBA講師。

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