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成馬零一「ドラマ探訪記」

NHK『サギデカ』が描く日本の格差社会が生々しい…曖昧化する“弱者と強者の境界”

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サギデカ | NHK 土曜ドラマ」より

 振り込め詐欺を題材にした作品が盛り上がりを見せている。

 映画では『ギャングース』、深夜ドラマでは『スカム』(MBS)。ドキュメンタリー+ドラマの『詐欺の子』(NHK)、そして、反社、半グレと呼ばれる人々の実態を描いたドキュメンタリー『半グレ 反社会勢力の実像』(NHK)。

 どの作品も、現代日本の暗部を描いた問題作だ。同時に、振り込め詐欺も反社も私たちのすぐそばに存在する、日常の延長線上に存在する現実として描かれていた。

 特に『スカム』は、2008年のリーマン・ショックの影響で新卒切りのリストラに遭った青年が振り込め詐欺に手を染めてしまう様が生々しく描かれていた。背景にあるのは世代間格差で、振り込め詐欺を行う若者たちが高齢者に対するヘイトを植え付けられていく様子が、年金暮らしの裕福な老人たちの描写と共に描かれていた。

振り込め詐欺を刑事の視点から描く『サギデカ』

 対して、NHKの土曜ドラマ(土曜夜9時)で放送されている『サギデカ』は、振り込め詐欺を捜査する刑事の視点から物語を紡いでいる。

 警視庁刑事部捜査第二課の女刑事・今宮夏蓮(木村文乃)は、振り込め詐欺で老人たちを食い物にする反社会組織の動向を追っていた。やがて組織のアジトを突き止め、“かけ子”と呼ばれる実行犯の加地颯人(高杉真宙)を逮捕する。しかし、彼は組織の末端にすぎず、上層部のことは知らなかった……。

 脚本は安達奈緒子。今年はドラマ『きのう何食べた?』(テレビ東京系)が話題となり、10月クールにはTBS系の火曜夜10時枠でいくえみ綾の少女漫画をドラマ化した『G線上のあなたと私』が控えている、人気脚本家だ。

 安達は2011年に月9(フジテレビ系月曜夜9時~)で放送された『大切なことはすべて君が教えてくれた』以降、さまざまな連続ドラマを手がける実力派。なかでも、昨年NHKで放送された産婦人科を舞台にしたドラマ『透明なゆりかご』は高く評価された。

 この『サギデカ』は、『透明なゆりかご』のチームが再結集してつくられたオリジナル作品だ。振り込め詐欺を通して見えてくる、格差が蔓延する日本の現実をテレビドラマというフィクションの中で描くことに対し、徹底的に考え抜いた作品となっている。

『スカム』と違い『サギデカ』で描かれる老人たちは、か弱い弱者として描かれている。悪いのは詐欺を働く犯罪組織で、老人たちは蓄えも少なく、騙されたことで尊厳を傷つけられ、身内からも非難される。第1回では、詐欺に遭った主婦・三島悦子(泉ピン子)が自殺未遂を起こす場面も描かれた。

 第2回になると、意図せざるかたちで詐欺に加担する老人も登場するが、『スカム』が踏み込んだ世代間格差が保留にされているように見えて、正直ぬるいと感じた。

 一方、もうひとりの主人公といえる元・かけ子の加地は極端な貧困家庭に生まれたがゆえに詐欺に手を染めてしまった青年で、『スカム』に感じた、日常のすぐ隣にあるような切迫したリアリティはあまり感じなかった。

 1話完結の刑事ドラマとしては第1回も第2回も完成度は高かったが、どこか図式的で、あまり乗れずにいた。しかし、第3回から本作は怒涛の超展開を迎える。

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