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ドンキ、「常識をあざ笑う」経営で30期連続増益…買収でことごとく成果出す“凄み”

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 その意味で、PPIHの取り組みは“小売り・物流革命”というべきだ。長期間、PPIHの株価は右肩上がりだ。過去の経緯を基に考えると、市場参加者は同社がさらなる生態系の拡大にコミットすることに注目しているといえる。

世界への飽くなき挑戦

 PPIHはグローバル企業として、売上高2兆円規模を目指している。この目標実現のために、同社は大きな決断を下した。それが、これまでの成長を実現してきた大原氏から吉田氏への社長交代だ。

 今後、PPIHの経営戦略の策定を吉田氏が担う。同氏はPPIH全体が向かうべき方向を示す役割を担う。そのもとで、大原氏と創業者の安田氏は、米国とアジアそれぞれの国・地域においてディスカウントストア事業のノウハウ伝授、成果の実現を目指すこととなる。人口減少などを受けて日本経済が縮小均衡に向かうなか、企業が成長を目指すために海外事業を強化することは不可欠だ。

 この決定は実に興味深い。売上高2兆円規模を目指すために、PPIHはさらなる買収など従来以上に戦略を多様化し、リスクを適切に把握・管理していかなければならない。その上で、現地のオペレーションをスムーズに運営すべく、自社のビジネスモデルをしっかりと理解し、現地の商慣習や消費者の行動様式なども熟知したプロに店舗運営などの権限を委譲する重要性は高まっていく。

 この点において、わが国の発想がそっくりそのまま海外で通用するとは限らない。国内の店舗運営に携わり、“たたき上げ”として出世してきた大原氏には、自社の国際化のためには異なるバックグラウンドと専門性を持つトップが必要と判断したのだろう。その考えのもと、コンサルティングファームなどで実務経験を積んだ吉田氏に経営のバトンが託された。

 すでに米国ではITプラットフォーマーとしてのアマゾンの存在感が高まってきた。アマゾンの生態系拡大を受けて、米玩具小売り大手のトイザらスは事業継続をあきらめた。また、一時、米小売りの名門と称賛されたシアーズは経営破綻に陥った。米国以外の国や地域でもECの影響力は拡大している。

 PPIHが新しい経営陣のもと、どのように米国などの消費者に実際の買い物の愉しみを実感させ、支持を獲得していくことができるか、その取り組みに注目したい。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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