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駒崎さんが始めた移動式“コンテナ”ヘアサロンが、とんでもない「地方創生」を実現してしまったワケ

文=丸田一代/ライター
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 晴海埠頭に置かれていた1台のトレーラー。その荷台には、おしゃれ感が漂うコンテナが積まれていた。外側に階段がついており、コンテナの中に入れるようだ。明らかに周りとは違う雰囲気に興味をそそられ、近寄って中を覗いてみる。そこにあったのは、コンテナビジネスの新たなスタイルだった。 駒崎さんが始めた移動式コンテナヘアサロンが、とんでもない「地方創生」を実現してしまったワケの画像1 駒崎さんが始めた移動式コンテナヘアサロンが、とんでもない「地方創生」を実現してしまったワケの画像2

 このコンテナは、なんと「移動式ヘアサロン」である。手前にカット席が2つ、奥にはシャンプー台が1台、洗面台まで備えてある。素晴らしいと感じたのは、コンテナ(高さ約2.6m、奥行約5.8m、幅2.3m)の開放的な内装だ。大きな鏡を所々に使用しており、狭さや暗さが気にならない工夫が至るところに施されている。

 内装のこだわりから、さらに興味が湧いてくる。なぜ、このコンテナヘアサロンをやろうと思ったのだろう。キャッチーなコンテンツだが、ビジネスの観点ではどうなのだろうか。 駒崎さんが始めた移動式コンテナヘアサロンが、とんでもない「地方創生」を実現してしまったワケの画像3 駒崎さんが始めた移動式コンテナヘアサロンが、とんでもない「地方創生」を実現してしまったワケの画像4

発想の源は「移動美容室」

 コンテナビジネスといえば、まず思い浮かぶのはコンテナ収納事業だろう。活用方法がない不便な土地の有効活用として、さまざまな場所で見かけるようになった。レンタル費用は立地条件や広さ、室内環境などによって月額4000~5万円程度まで、さまざまに設定されている(東京都世田谷区の場合)。

 土地の所有者向け事業として考えた場合、初期投資や売り上げを考えると表向きの利回りは悪くなさそうだが、それ以外にかかる諸経費、人件費などを含めて運営していかなければならない。

 そこで、コンテナのオーナーであり、東京と千葉でヘアサロン「abie hair」を店舗展開している駒崎由美子さん(株式会社カプラス代表)に話をうかがった。

「ヘアサロン経営を始めてから14年になります。今までは内部組織の強化に力を入れてきましたが、近年、企業として新たなステップアップを考えていました」(駒崎さん)

 新たな事業として、地域貢献も視野に入れた「移動式美容室」という発想が浮かんだ。トラックの荷台を美容室として、介護施設や保育園を回る移動販売車のような展開をイメージしたそうだ。

 加えて、「価値ある空間にしたい」というこだわりも持っていた。そこで、取引先から教えてもらった「東京都よろず支援拠点」(中小企業や小規模事業者などに向けた無料の経営相談窓口)に新事業の企画を持ち込んだ。そこで提案されたのが「経営革新計画」の取得だ。

 東京都の産業労働局によると、経営革新計画とは「中小企業が既存事業とは別に、新事業を立ち上げるために立案した中期的な計画」を指す。各都道府県に承認された企業は、政府系金融機関による低金利融資や「ものづくり補助金」が受けられる。2017年6月、カプラス社は承認企業として認定され、同時にものづくり補助金の申請にチャレンジした。しかし、そう簡単に申請は通らない。移動美容室の荷台は切り離せることが条件だというのだ。そこで出てきたアイデアがコンテナだった。

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