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QBハウス、1割値上げでも客数減“起きず”大幅増益…低価格&高い技術で「敵が不在」状態

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 こうしたこともあり、QBハウスは各方面から高い評価を得ている。日本生産性本部・サービス産業生産性協議会の「日本版顧客満足度指数(JCSI)」(2015年度)で、生活関連サービス部門の「顧客満足度」1位となったほか、革新的で優れたサービスを表彰する「日本サービス大賞」(第2回)で「JETRO理事長賞」を18年に受賞している。

 このようにQBハウスが高い評価を得ているのは、高いカット技術力を有していることも大きい。「安かろう悪かろう」では支持を得られないが、QBハウスは独自のノウハウでカット技術の質を高く保つことができており、「高い技術力があるのに安い」との評価を獲得することに成功している。

 QBハウスでは独自の従業員育成ノウハウにより、技術の習得を短期間でできるようになっている。一般的な理美容室では、新人従業員は店舗で働きながら技術の習得を行うため、育成効率が悪く、客にヘアカットできるようになるまでには2~3年かかってしまうが、QBハウスは国内に数カ所ある研修施設にて独自カリキュラムで効率良く技術習得を行うため、わずか6カ月という短期間でデビューすることができる。

 QBハウスは高いカット技術力が差別化の要因となっているが、差別化を維持するには、優秀な従業員の確保が欠かせない。2月に値上げを行ったのも、従業員の待遇改善と採用・育成の強化に向けた資金を獲得し、優秀な人材を確保するためだ。値上げで収益性を高めて原資を獲得しつつ、従業員確保のための投資を行っているが、これが今のところ功を奏して従業員の確保に成功している。

さらに値上げしても安泰か

 こうしたことが寄与し、キュービーネットの国内正社員(本社除く)の退職率は低下傾向にある。10年6月期の退職率は31.8%もあったが、その後は徐々に低下し、19年6月期には8.4%まで下がった。同期は採用も順調にいき、正社員の採用人数は前の期より11人多い265人だった。正社員とパートを合わせた従業員数も増えており、前の期より168人多い1865人となっている。

 19年6月期は値上げが奏功し、収益性が高まった。値上げに伴う従業員の待遇改善のための一時金の支給や期末手当の増加などで販管費は増加し、売上高販管費率が若干上昇してしまったが、一方で、値上げによる増収効果で売上原価率が大きく低下したので、売上高営業利益率は上昇している。前の期は8.5%だったが、9.4%にまで高まった。

 こうしてQBハウスは高い競争力を保ちながら積極的な出店を行うことで、大きな成長を続けることができている。今期(20年6月期)も積極的な出店を行う考えで、期中に19店増えて期末店舗数は573店となる見込みだ。海外でも出店を進めていくという。

 10月1日には消費税率が引き上げられたが、QBハウスは価格を据え置いた。今期の連結業績予想は、売上高が前期比7.1%増の223億円、営業利益が11.7%増の22億円、純利益が10.3%増の14億円を見込んでいる。

 今のところ、QBハウスにとって大きな脅威となる同業は見当たらない。優秀な人材を確保し続けられれば、QBハウスは当面安泰といえる。こうした状況が続けば、数年内でのさらなる値上げも可能だろう。おそらく、1000円台中ごろまでであれば、値上げは大丈夫ではないか。QBハウスの今後にも注目したい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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