NEW
連載
堀田秀吾「ストレス社会を科学的に元気に生き抜く方法」

年収650万円超の人、前向きで幸福度が高い傾向強く

文=堀田秀吾/明治大学法学部教授
【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 さらに、年齢でいうと、35歳〜49歳の中年期において、幸福感は下がり、若い時期と老年期においては高くなるという結果でした。いわゆる、働き盛りほど幸福度が低いという結果になったわけです。確かに、人生のこの時期は、仕事の責任や社会的責任が重くなってくる時期ですし、子育てなどにも追われる人生で最も大変な時期かもしれません。自分や家族の将来についても心配の種は尽きない時期です。

 健康については、健康と答える人ほど、前向きで、不安感が低いという傾向がありました。やはり、健康であることも幸福感においては大切ということなのでしょう。

 人間関係においても、不満が少ない人ほど、前向きで不安感が少ないという結果が出ています。特に、配偶者や恋人、直属の上司との関係が影響するようです。そして、「自己決定」においては、大学や専門学校などの高校卒業後の進路・進学先、就職先は誰が決めたかなどについてたずね、自己決定度合いの高い人ほど前向きで、不安感が少なく、自己決定度合いが低い人ほど、前向き思考ではなくなり、不安度も高くなるという結果となりました。

 ほとんどの側面は、私たちの直感と合っていますが、自己決定が幸福度と関連するというのは目新しい結果でしょう。確かに、自分で決めたことについては、失敗したとしても後悔も少ないでしょうし、満足度も高いでしょう。

 こういったさまざまな条件も大切ですが、そもそも、幸福感というのは、非常に主観的なものです。自分が幸せだと思っていれば幸せです。どんなに裕福でいろいろなことに恵まれていても、本人が幸せでないと思えば不幸だし、どんなに大変な境遇でも、本人が幸せだと思っていれば幸せです。小さな幸せを毎日見つけていく人生のほうが、不平不満を見つけてばかりの人生より幸福感が高くなるはずです。結局、心の元気を保つことが、ストレスとうまくつきあっていく上でも大事なのです。

 とはいえ、なかなか気持ちだけをポジティブに変えていくのが難しいという方もいらっしゃいます。そういう方は、上で見たような環境を整えることが元気でハッピーな毎日を過ごす上で大事だということになります。すなわち、健康でいる努力をし、他人との関係を良好に保ち、できるだけ自分の意思でものごとを決定していくことが大切だということです。

(文=堀田秀吾/明治大学法学部教授)

参考文献

矢島潤平,岡村尚昌, 田中芳幸,津田 彰 (2008) 「主観的幸福感と心理生物学的ストレス反応との関連性」日本心理学会大会発表論文集72  1061頁

西村和雄, 八木匡 (2018) 「幸福感と自己決定-日本における実証研究」RIETI Discussion Paper Series 18-J-026

RANKING

関連記事