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NHKを「暴力団」呼ばわりした日本郵政副社長(元総務省事務次官)の“精神構造”

文=編集部
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 鈴木氏はなぜ暴発したのか。神戸学院大現代社会学部教授で旧労働官僚だった中野雅至氏は次のように今回の騒動を解説する。

「今回の件は、鈴木副社長が総務省の出身、中でも旧郵政省の出身者であることが大きいと思います。

 旧郵政省は電波行政を長らく取り仕切り、地方ローカル局への天下りは何度も行われてきました。そのため20~ 30 年前のマスコミ、特にテレビ局には『郵政を扱うのはご法度』という雰囲気がありました。それは少なくとも小泉純一郎元首相の『郵政民営化』まで続いてきたと思われます。

 鈴木氏は放送通信業界を所管し、同業界に対して権力が強かった時代の郵政官僚ということもあり、そもそも上から目線で今回の件にあたった可能性があります。多くの官僚が天下りできずに退職金でやりくりしている状況下で、鈴木氏のかんぽ生命副社長への天下りは恵まれている部類に入ると思います。

 事務次官という役職は、人格的に優れた人物しかなれません。腰が低く、暴言を吐かないよう長年にわたって訓練し、黒子に徹してこなければ着けない役職です。それが、今回のような発言をするとは前代未聞です。かんぽ生命に対する愛社精神があるとは思えませんので、個人的に腹に据えかねたのではないでしょうか。

 今回の件は、省庁とNHK間の権力闘争というより、官僚と世論のマスコミに対する姿勢が変わってきていることを表した事例だと思います。安倍晋三内閣の成立前後の10年前くらいから、官僚側がマスコミにクレームをつけることが多くなってきました。それまでは官僚側はマスコミに言われっぱなしで、むしろマスコミに対する恐怖感がありました。

 状況が変わったのは、インターネット上の世論がマスコミに対して批判的な風潮になったことが大きいと思います。すでにマスコミは世論に応援される立場ではありません。そうした社会の雰囲気の後押しもあって、鈴木氏は今回のような暴言に至った可能性があります。

 世論の後押し、郵政官僚として口をはさみやすい立場、そしてNHKの今回の取材のやり方が重なって、激発したというのが真相ではないでしょうか」

 一方で、NHK記者は次のように話す。

「『クローズアップ現代+』のチームに何かあったのは、社内で噂になっていました。ただ当事者たちに聞いても口は重く、社内にもあまり公に触れられないような空気がありました。今、考えてみれば総務省案件であったことに加えて、今のNHK経営委員会には鈴木氏とつながりのある損保ジャパンの関係者が複数人います。

 明らかに面倒くさくなりそうな案件ですし、1回目のクロ現の放送後にほかの取材チームから支援射撃があったようにも見えませんでした。かんぽ生命に関わりたくないと思っていたのが現場の局員の本音だし、空気感だったと思います。

 社の内外問わず圧力というか、取材を忌避したほうがよさそうな空気感を感じます。だから今回のスクープに対して現場の記者の多くは、『すごいな』という思いのほうが強いです」

 NHKの取材手法に不備があったか定かではないが、この問題の本質はかんぽ生命が不正販売を行っていたことのはずだ。顧客の利益を無視した保険商品の売り方が許されるわけがない。経営幹部として一連の対応が適正だったのか、鈴木氏が厳しく問われていることに変わりはない。

(文=編集部)

 

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