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山口組分裂騒動は新たな局面へ…当局の規制強化で髙山若頭出所に注目集まる

文=沖田臥竜/作家
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使用制限をかけた弘道会本部に入る愛知県警の警官たち

 これまでの山口組の常識に、当局が鋭く斬り込んだ。台風一過となった10月13日、3連休のど真ん中の日曜日。愛知県警捜査員約50名が、名古屋市にある六代目山口組の中核団体である三代目弘道会本部に続々と入っていったのだった。

「11日に六代目山口組総本部や神戸山口組事務所などが使用制限を受けた際、台風が過ぎた日曜日に、弘道会本部にも使用制限がかけられると噂になっていました。その際、野内組(六代目山口組三代目弘道会)や北村組(野内組傘下)などにも、同じく使用制限がかかるはずだと話に上がっていたんです」(週刊誌記者)

 それが現実のものとなったのである。愛知県警は弘道会本部に使用制限をかけると、弘道会系十代目稲葉地一家やそのほか関係施設に向かい、合わせて計5カ所に使用制限をかけたのだ。さらに岐阜県警は野内組に、大阪府警は六代目山口組系1カ所と、神戸山口組系2カ所の計3カ所に対して、同じく使用制限をかけたのである。

 10日に神戸市花隈で弘道会系組員によって山健組系組員が射殺されて以来、この日までに一連の関係先とみなされた20カ所が使用制限を受けることになった。

 こうした使用制限をかけられてしまうと、具体的に一体どうなってしまうのか。わかりやすくいえば、組員たちが一堂に会す場所としてこれまで運営されてきた事務所に、組員たちが出入りできなくなってしまうのだ。

「基本的に、使用制限をかけた場所に組員は出入りできない。事務所を住居にしている組員の使用は法的に許されるので、唯一、こんな時に備えて事務所に住民票を移していた幹部たちだけは出入りすることができる。だが制限が解除されるまで、月に一度の定例会は当たり前のこと、事務所でこれまで行ってきた組行事も執り行うことができない。聞こえてくる話では、仮に場所を変えてそれらの行事を行えば、当局はそこにも使用制限を次から次にかけるのではないかなんて噂も出ている。いよいよ、ヤクザは地下に姿を隠さないとやっていけない時代が来てしまった」(某団体幹部)

 この幹部の話によれば、今回の緊急事態を受け、月に一度の定例会などの行事を取り止めることを早々と決めた組織も出てきているという。そして、致命的になっているのは、やはり六代目山口組総本部への使用制限だと、この幹部は続ける。

「事始めや定例会だけでなく、総本部ではハロウィンの日になれば、地域住民の子どもたちにお菓子を配ったり、年末には地域住民を招待し、餅つき大会を開催したりしていた。数少ない一般の人々とヤクザが触れ合う機会を持てる場でもあったのだ。組員たちの顔を直接見ることで、近隣住民の人たちに安心してもらえる側面もあったと思う。そうした機会が奪われてしまったダメージは、相当深刻なものといえるのではないか」

 一度、使用制限がかかってしまうとどうなっていくのか。犯罪事情に詳しい専門家はこう話す。

「まず、今のまま山口組が3つ存続する対立状態にある間は、使用制限が解除されることはないでしょう。建前であったとしても、キチッとした和解内容が含まれた書面のようなものを当局に提出するか、もしくは山口組が再びひとつに統合される以外、事務所として使用するのは難しいのではないでしょうか」

 ただ、現実には、六代目山口組髙山清司若頭の出所が迫り、分裂騒動の対立が激化してきたからこそ、警察当局が使用制限をかけたのだ。そうしたなかで、和解や統合などの打開案が実現するのだろうか。

 六代目山口組サイドからすれば、分裂した神戸山口組や任侠山口組の存続を許容することなどできない状態だ。神戸山口組サイドからしても、六代目山口組との対立がさらに悪化した今、歩み寄るとは考えにくい。

 そこで大きなターニングポイントとなるのが、髙山若頭の出所だと、ある関係者は話している。

「髙山若頭の影響力は凄まじい。それは六代目山口組の中にあっても、外に対してもだ。六代目山口組の分裂は髙山若頭の不在中に起きた。その髙山若頭が18日に出所してくる。現在の状況を踏まえて、なんらかの大きな判断が、髙山若頭が戻ったあとに下されるのではないか」

 この関係者の話す通り、髙山若頭の出所後に当局の規制を緩和させるような動きは起きるのか。今後の山口組の運営方針が、これを機に大きく変貌を遂げるのだろうか。2015年から始まった分裂騒動は、山口組の存続をかけた戦いへと突入しているのかもしれない。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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