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土性沙羅の大きな不安

日本レスリングに黄色信号、東京五輪目前で“勝てなく”…海外勢が一斉にレベル向上

文・写真=粟野仁雄/ジャーナリスト
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レスリング・土性沙羅選手

 見渡す限り巨大なビルか、だだっ広い工事現場ばかり。中央アジア、カザフスタンの新都市ヌルスルタンでは、なぜか老人もほとんど見かけない。この町自慢のアイスホッケーチームの本拠地バリス・アリーナで9月22日まで開かれていたレスリングの世界選手権を取材した。

 注目の女子57キロ級、川井梨紗子(24)は見事に3連覇し、3位に入った62キロ級の妹・友香子(22)とともに東京五輪代表に内定して、伊調馨(35)の五輪5連覇の夢を砕いた。とはいえ、全体には男子も女子も厳しい結果となった。

 日本の「不振」を象徴したのが、川井とともに五輪チャンピオンとして68キロ級に臨んだ土性沙羅(24)だった。リオデジャネイロ五輪69キロ級の決勝では、ロシアの選手を相手に終了直前の大逆転で金メダルを獲得した勝負師の姿が今も思い出される。今年6月の選抜選手権でも、残り11秒で古市雅子(23/日本大)を逆転して世界選手権の切符を手に入れていた。

 だが、土性は大きな不安を抱えていた。昨年3月に群馬県高崎市で行われた女子ワールドカップの試合中、左肩を亜脱臼した。手術は不安だったが「だましだましで東京五輪の前に駄目になっては」との思いから、迷わず敢行した。その後はリハビリ、母校の至学館大学での練習と念入りな準備をしていた。

 土性は吉田沙保里と同じ三重県に生まれた。引っ込み思案な子供だったが、8歳からレスリングを始め、吉田の父親、栄勝さん(故人)の「一志ジュニアレスリング教室」で指導を受けるとめきめきと強くなった。至学館高校、大学へ進み、栄和人氏の指導を受け、世界に躍り出た。現在は志土地翔大氏が指導している。

 復帰してからは昨年12月の天皇杯で優勝、6月の選抜選手権にも勝ってカザフ入りしていたが、選抜選手権ではショックなことがあった。高校、大学、現在の所属先(東新住建)でも先輩で、リオ五輪の48キロ級でともに金メダルを取った登坂絵莉(26)が、須崎優衣(20/早大)に決勝で一方的に敗れ、世界選手権切符が取れなかった。登坂はリオ五輪後に膝をけがして2度も手術を行い、昨年の全日本も敗れていた。茫然自失の登坂だったが、「一緒に行きたかったけど全力で沙羅の応援にぶつけたい」と土性を激励していた。大先輩の吉田に憧れ苦楽を共にしてきた2人は、「一緒に再びオリンピックに行って金メダルをとろうね」と、約束していたのだ。

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