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Wikipediaは「信じる」ためのものではない 今必要な情報読解力とは

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※画像:『大人の読解力を鍛える』(幻冬舎刊)

 気になる有名人のことを調べたり、何かわからない物事を調べるとき、とりあえずウィキペディアを見たり、ネット検索をするのが当たり前になった。

 ネットでどんなことでも調べられ、便利にはなったものの、情報があふれすぎてどの情報が正しいかの判断は、それぞれ個人に委ねられる。便利になった反面、まちがった情報を掴んでしまったり、情報操作に心理を誘導されやすくなったともいえる。こういう時代に必要となるのは、メディア、あるいは情報そのものに惑わされない読解力だ。

Wikipediaは「信じる」ために見るものではない

『大人の読解力を鍛える』(齋藤孝著、幻冬舎刊)では、明治大学文学部教授の齋藤孝氏が、具体的なテキストを挙げながら、コミュニケーション全般のスキル向上を目指し、言葉の集合体としての情報を読み解く力を解説する。

「メディア・リテラシー」という言葉が一般的になったのは、やはりインターネットの登場以降だろう。「リテラシー」とは本来、「読み書きする能力、識字能力」の意味。そこから派生した「メディア・リテラシー」とは、テレビ、新聞、インターネットなどのあらゆるメディアの情報をしっかりと読み解き、真偽を確かめる能力、つまりメディアの情報読解力のことを意味する。

 とくにインターネット情報は膨大で、正しい情報も悪意のあるウソ情報も、何もかも同じ土俵に上げられている。この中から正しい情報を完璧につかむのは、たぶん我々が思っているよりもずっと難しい。

 齋藤氏によると、この情報読解能力を用いてメディア情報を読み解くには、重要な2つのプロセスがある。

1.まず疑うこと

 情報を鵜呑みにしないこと。違和感を察知する「違和感センサー」を研ぎ澄ませて、少しでも引っかかりを覚えた情報に対しては、まず疑いの念をもって向き合い、そのまま信用しない。

2.裏をとること

 不確かで疑わしい情報かどうかの真偽を見極めるには、その情報を多角的かつ徹底的に調べること。ネットで検索をかけて徹底的に調べるのだ。齋藤氏もネット検索で、とりあえず「〇〇新聞のサイトでも記事になっているから、本当の可能性が高そうだね」と、おおよその推測をしている。そして、最低3回は検索して、多方面から検索をかけて、深く掘って、裏を取り続けることが大切だ。

 簡単に情報を鵜呑みにせず、できる限り調べる努力はしておくべきなのだ。手間はかかるが、正確に情報を読み解くには、この方法しかないのだ。

 情報の裏をとるときに有効な手段が、オンライン百科事典「ウィキペディア」だろう。検索をするときにまずは利用している人は多いはず。ウィキペディアは「誰でも自由に書き込める」「誰もが自由に記事を編集できる」ことによって成立している。そのため、幅広い知識が手に入る一方で信頼性に疑問がある情報も少なくはない。

 齋藤氏は、ウィキペディアの記事とは「湖面に張った氷の上を歩くように」向き合うべきだと考えている。つまり、参考にするけれど、すべては信用せず、自分で検証しながら真偽を精査していくべきということだ。「信じる」ために見るのではなく、「アタリをつける」ために見る。こうした慎重さこそが、ウィキペディアを最大限に有効活用するための秘訣なのだ。

 ネットは便利だけれど使い方を誤ると、ウソやデタラメな情報に惑わされることになってしまう。一国の政府が主導してSNSで世論誘導を図る時代である。冷静な判断をして上手にネット情報を活用するためにも、情報読解力は必須の能力となるだろう。

 本書は現代を生きるのに必須のこの能力を磨き上げるための方法を教えてくれる。手に取ってみると役立つ発見があるのではないか。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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